「おかしいという視点はなかった」教育委員会に金品を渡した元校長が取材に応じる 名古屋市教育委員会の金品受け取り問題

名古屋市教育委員会が、教員の団体から校長に推薦する名簿とともに金品を受け取っていた問題。学校の人事はカネで動いていたのか。実際に金品を渡したことがある元校長がCBCの取材に応じました。
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(名古屋市教育委員会の会見 2月11日)「申し訳ございませんでした」名古屋市教育委員会が小中学校の教員でつくる団体から「上納金」と疑われる金品を受け取っていた問題。
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教職員の人事を決める教育委員会には毎年、市内各区にある校長会や教員が通っていた学校の同窓団体、担当教科の研究会などから、校長や教頭に推薦する教員名簿が提出されます。その名簿とともに現金や商品券が贈られていて、総額は200万円を超えるとみられています。
受け取ったお金の使い道について、教育委員会は。(名古屋市教育委員会の会見 2月11日)「人事をやるときに『キャンプ』と称して部屋にこもって、早朝から深夜まで勤務、そのときの菓子や飲料代。激励的ないわば『陣中見舞い』」
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教育委員会の職員をねぎらう「陣中見舞い」か、それとも人事で有利に取り計らってもらうための「貢ぎ物」か。
(元校長 60代)「身内とかを(校長に)上げてくださいという、賄賂的なものでは全くないです」こう話すのは名古屋市内の学校で校長を務め、教員団体の代表として教育委員会に金品を渡したことがある60代の男性。推薦名簿とともに現金や商品券を直接手渡して、慰労するのが慣習だったと話します。
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(元校長 60代)「(教育委員会の)担当部署の方々が、泊まり込みに近いぐらい働いていると聞いていた。そういう人たちに経費が出るわけでもない。夜遅くに帰るとか。『(菓子・飲料代などに)使っていただけたら』という意味合いだと私は理解していた」
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また、推薦名簿は「参考資料」にすぎず、それだけで人事が決まるわけではないと主張します。(元校長 60代)「『この人を絶対に』ということではなく、一緒の組織の後輩に、頑張っている人がいるので知っておいてくださいと。名簿にあった人が全員、次の人事で推薦した役になっているとは限らない」
学校現場と教育委員会の力関係については。(元校長 60代)「(教員の)仲間が教育委員会に行って、多くが現場に戻ってくる。教育委員会が上にあって“上納する”という構図には思えない」
一方、今回の問題では教育委員会に贈られた金品が、人事案を承認する立場にある幹部ら個人にも渡っていたことが分かっています。
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この幹部はCBCテレビの取材に対し、「人事への影響や私的流用は一切ない」と話した上で、「“互助会”的な意味合いのお金だった。どの団体からいくら受け取ったかも把握しておらず、人事を決める場でお金のことなど話題にも上らなかった」と答えました。
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関係者が口をそろえて「賄賂ではない」と言い切る金品の授受。しかし、元校長の男性はそう疑われても仕方ない不適切な慣習だと話します。
(元校長 60代)「私たちはそういうものだと当たり前でやっていたことが、外から見ると『それはおかしいぞ』と。その視点はなかった。ずっと教員をやってるメンバーでしたし。いったん外に出ると、『これはまずいだろうな』とは思います。閉鎖された関係性の中で、という部分があったのかもしれません」
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名古屋市は外部の有識者による調査チームを立ち上げ、3月中に調査結果を中間報告としてまとめる予定です。(河村たかし名古屋市長 2月21日)「なぜ集める気になったか。何に使ったか。厳しくやらないと有権者の信頼は得られない」
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教育委員会は何のために多額のお金を集め、そのお金を何に使っていたのか。そして、本当に人事への影響はなかったのか、実態解明が待たれます。

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