〈渋谷の若手社員100人に聞いた〉職場での全員「さん付け」に賛成? 反対?「呼び捨てしてハラスメント扱いされるよりマシ」「上司や部下と距離ができてしまってイヤ」職場環境の改善につながるか?

4月からはじまる刑務官の受刑者に対する 「さん付け」呼称が物議をかもしている。一方、昨今は一般企業でも上司部下関係なく、社内で「さん付け」を推奨する会社が増えている。若手社員たちは、このことをどう考えているのか? 渋谷の20代会社員100人に話を聞いた。
2022年に発覚した名古屋刑務所の刑務官による受刑者への暴行事件が発端となって、今年4月以降、刑務官による受刑者への呼称が“さん付け”が義務づけられる。これが法務省から発表されるやいなや、インターネットを中心に賛否が巻き起こった。いわゆる「人権意識」からの施行だが、立場に関係なく「さん付け」を推奨するのは刑務所だけではない。ここ数年、働き方改革などで職場環境は大きく変化しており、風通しのいい職場づくりのための意識改革として、上司部下といった上下関係なく、“さん付け”で呼び合う企業が増えている。このような施策について、若手社員たちは何を思うのか。渋谷を歩く20代の会社員100人に意見を聞いた。まずは肯定的な意見だ。
「私の職場は女性ばかりで、すでにさん付けが当たり前なので、もし呼び捨てにされたら高圧的で怖いと感じるかもしれません。だから、さん付けには賛成です。そんなに難しいことでもないし、さん付けによって感情的になりにくくなるので、悪くないですよ」(女性・介護)「仕事柄、うちには子会社からきてる方や、出向で別の企業から移ってくる方が多数いるので、年上だけど“職場歴は後輩”という人が多い。そういう人に対して呼び捨てにする人もいるが、それはちょっと社会人の先輩に敬意が足りないと感じる。それなら全員さん付けのほうがいい」(男性・運輸)
先輩の後ろ姿を見てさん付けに賛同する若手社員も多い。「新人にも役職のある人にも同じようにさん付けで接している先輩が職場にいて、誰とでもうまく接している姿は尊敬しますね。だから全員さん付けでもいいと思います。ちなみにその先輩は、『人によって話し方を分けるのが面倒だから』と笑っていましたが」(男性・運輸)
回答とは関係ありません(以下同 撮影/集英社オンライン)
「自分の尊敬する先輩が、その上司に 『キミ』とか『お前』って呼ばれているのを見ると、少しカチンとくるんですよ。“あなたよりよほど優秀なのに!”って。さん付けが定着すれば、そうしたモヤモヤした気持ちもなくなりそうですよね」(女性・営業)このように「ご時世的に“さん付け”のほうが無難」との声は少なくなかった。「私は呼び捨てされてもかまわないですけど、ハラスメントにうるさい時代なので、さん付けを社内でルール化して、それに従うほうが楽ですかね」(女性・営業)
(撮影/集英社オンライン)
「実は呼び方について相手が嫌がっていて、気づいたら自分がパワハラやセクハラの加害者になっていた…なんてことを回避できるなら、さん付けが徹底されてもいいと思います。ただ他の社員たちとの距離も遠くなりそうですけどね」(男性・コンサル)
逆に「さん付け」に反対する若手社員たちはこう答える。「自分は上司や先輩からは呼び捨てや“くん付け”されて育ってきたし、部下や後輩にも同じように接してきたから今さら変えるのは難しい。尊敬する人からさん付けされたら、『自分が敬う側なのに……』と気を遣ったり、『自分と仲よくしたくないのかな』と考えて落ち込んだり、むしろ疲れてしまいそう」(男性・アパレル)「上司とも部下ともさん付けで距離ができて、大切な相談や何気ない雑談が生まれにくくなるかもしれないので反対ですね。この先ずっと働き続けるかもしれない職場で、同僚に気を遣い続けなくちゃならないなんて寂しいですよ」(男性・営業)
(撮影/集英社オンライン)
社内の風通しをよくし、上司部下関係なく意見が言える社風をつくるために「さん付け」を導入している企業も多いようだが、それが職場環境の改善につながるのか疑問だと答える人も少なくなかった。「さん付けにしたところで、人間関係が良好で意見が言いやすい職場になるとは思えない。ただの人権やハラスメント意識ってだけですよね。呼び捨てでもハラスメントにならない関係性はいくらでもある。結局、その人の接し方しだいですよ」(男性・コンサル)
(撮影/集英社オンライン)
「さん付けでハラスメント予防にはなるかもしれませんが、生産性が下がりそう。だって、気軽に話せる関係のほうが先輩や上司から助言も得やすいし、後輩への配慮もしやすい。仕事の効率を考えると今までどおりがいいですね」(男性・IT)今回のアンケートでは、「さん付け」に賛成した人が58人、反対が42人だった。拮抗した結果が物語るように、どちらの言い分も間違いとは思えない。いずれにしても、新年度となって入ってくる新入社員が、働きやすい職場になってくれることを願いたい。取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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