「嫌だ~帰りたくない~」と泣き叫ぶ客、「同担に勝ったときの脳汁ハンパない」と勝ち誇る女…ホス狂たちのクリスマス2023「60万円使ったのにアフター断られたんで」と路上で一人酒も

新宿・歌舞伎町のホストクラブが来年4月をめどに業界団体を立ち上げ、被害防止に向けた取り組みを進めると宣言した。これにより、ホストクラブの「売掛金(ツケ払い)制度」のラストイヤーとなることが予想される2023年のクリスマス。相次ぐホストクラブでのトラブルに際し、新宿区の吉住健一区長は「自分のお小遣いで遊べない人は歌舞伎町に来ないで」と呼びかけたが、果たしてその言葉は届いたのか? クリスマス・イブ当日の歌舞伎町をリポートする。
毎年クリスマスシーズンになると、異様な盛り上がりを見せるという新宿・歌舞伎町のホストクラブ。しかし、今年はホスト絡みの”不祥事”があとを絶たない1年だった――。相次ぐホストクラブのトラブルに際して今月13日には、新宿・歌舞伎町のホストクラブが来年4月をめどに「業界団体」を立ち上げて、売掛制度の撤廃や未成年の入店禁止などの自主規制に取り組んでいくことを明らかにした。さらにクリスマスを直前にひかえた19日には、新宿区の吉住健一区長が「自分のお小遣いで遊べない人は歌舞伎町に来ないで」と直訴、今まで以上に警戒を強めていた。
年末の歌舞伎町(撮影/集英社オンライン)
クリスマスイブ前夜の23日の午後23時ごろ、取材班が歌舞伎町を訪れると、街はすでにかなりのにぎわいを見せていた。サンタのコスプレをしているガールズバーの女性店員や、サンタの帽子をかぶったキャバクラの男性店員が客引きを行なっている。さらに、ホストクラブの電飾看板がズラリと並ぶ通りでは、黒いサンタの帽子をかぶったホストらしき男性たちが「初回無料ですけど、いかがですか?」と街行く女性に声をかけていた。そのいっぽうで、ホストクラブのテナントが入った雑居ビルの一室からは、「ぐんぐん飲んで―! ヨイショ―! ヨイショ―!」といったシャンパンコールが漏れ聞こえてくる。ホストクラブの高額な売掛金(ツケ払い)が社会問題となるなか、当の本人たちはクリスマスにどっぷり浮かれているようだ。
呼び込みをする黒いサンタ帽の男(撮影/集英社オンライン)
この時期の店内の様子について、ホストクラブに15年以上通っているという30代・女性はこう語る。「クリスマス営業の2日間は、担当ホストとのアフターを勝ち取るために、同担(同じ担当ホストをもつ女性客)同士の争いが勃発することも珍しくありません。こっちがシャンパンを入れたら、あっちも負けじとシャンパンを入れて、その日の売り上げを競い合うんです」
サンタの恰好をするホストクラブの店員 (撮影/集英社オンライン)
人気ホストが担当の場合、一本10万円ちかくするシャンパンを何本も頼み、ひと晩で100~200万円ほど使う女性客も少なくないというが、なぜそこまでアフターにこだわるのか。「私たちのような”ホス狂”にとって、クリスマスの夜に担当ホストと過ごす以上の喜びはありません。だって恋人同士だってそうじゃないですか? 女の子はクリスマスの夜は好きな人と一緒にいたいんです。だから姫(お客さん)によっては、シャンパンを入れたあとに『今日は担当(ホスト)の寝顔見られるかな~?』といったふうに、アフター狙いであることをわざと匂わせて同担の女性(同じホストを指名している女性)を煽ったりします。そうして勝てたとき(アフターが成功したとき)は脳汁がハンパないし、同担(の女性)が悔しそうにこっちを見てくるときの優越感もたまりません」(同)
午前0時30分ごろになると、街にホスト帰りと思わしき女性もポツポツと増えてくる。「担当とツーショ(ツーショット)撮りたかったのに~」と号泣しながら歩く女性がいる一方で、スマホの画面を見ながらニヤけている女性も。見ればどちらもデパートの紙袋を持っている。「それは担当ホストからのクリスマスプレゼントですね。相場はだいたい姫が1カ月で貢ぐ金額の10分の1くらいになるので、かなりの太客じゃないかぎり、20代だと『Dior』のブレスレットや、30代だと『AHKAH』のネックレスとかが定番になります。まぁ、私たちがふだん使ってる金額からしたらまったく見合いませんが…」(前述・30代女性)さらに取材を進めると、ホストクラブの前で顔に手を当てて泣いている女性を発見した。となりにいるホストと思わしき男性が「ごめんな、また埋め合わせするから」と慰めているが、「嫌だ~、帰りたくない~」と泣き止む様子はない。この女性はアフターの約束を取りつけられなかったのか、足取りもおぼつかないまま一人で夜の街へ消えていった。
ホストに見送られ涙を流していた女性(撮影/集英社オンライン)
また、ホストクラブの近くの雑居ビル前にしゃがみこみ、一人で缶チューハイを飲む女性も。取材班が声をかけるとこう答えた。「今日60(万円)使ったのにアフター断られたんですよ。担当は『行けたら行くわ』とか言ってましたけど、どうせ来ないでしょ。あまりにショックだったんでここで飲んでたんです。一人になりたいのでどっか行ってもらってもいいですか?」こうしてアフターを逃した女性がいる一方で、担当ホストと思わしき男性に「じゃあ先に待ってるね~」と声をかけ、一人でリゾート系のラブホテルに入っていく女性もいた。この女性は無事にアフターを勝ち取れたのだろう。
アフターでホテル街を歩くホストと女性(撮影/集英社オンライン)
時刻は深夜の1時すぎ。ホストクラブの営業が終わり、街にはコートにロングブーツ姿の若い女性たちが溢れだして、だんだんとカオスな雰囲気になっていく。担当ホストとのアフターを取れたかどうかは一目瞭然で、「じゃあ○○の前で待ってるね~」と言ってホストとハグする女性がいるいっぽうで、「お前わがまますぎるんだよ!」と言って無理やり女性をタクシーに押し込むホストも目に入る。
コンビニ前で座り込みスマホをみつめる女性(撮影/集英社オンライン)
さらに、いわゆる地雷系の恰好をした女性2人組のうちの1人が、「なんで同担かぶるの!最悪なんだけど~」と号泣しだした。それをもう1人の女性が「まぁまぁ仕方ないじゃん」と慰めているが、「あんたは関係ないからいいよね!」と激怒している。さらに路上で担当ホストと電話しているのか、「どうしてリョウはいつもそうなの?!」と泣きわめく女性もいた。「こうしてアフターを断られた女性のほとんどは、近くのネットカフェやカプセルホテルなどで一夜を過ごすことになります。そのいっぽうで、アフターを勝ち取れた子はそのままラブホテルでホストと合流したり、ちかくのご飯屋さんに行くことが多いですね。ふだんは大衆居酒屋でアフターするホストも、クリスマスには奮発してしゃぶしゃぶや回らないお寿司屋さんなど、けっこう高いお店に食べに行きます」(前述・30代女性)
この日はラブホテルやカプセルホテルはほとんどが満室だった(撮影/集英社オンライン)
午前5時になっても、歌舞伎町の夜はまったく明ける様子がなかった。#2ではホストたちの聖夜のアフター事情に迫る。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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