東日本大震災の巨大津波はどのように起きたのか?メカニズムの謎に迫る研究者たちがいます。海底の地層からは南海トラフとの共通点もみえてきました。高知県にある「高知コア研究所」。ここには東日本大震災を引き起こした日本海溝や南海トラフなどで採取された地層が保管されています。
南海トラフ巨大地震「次はこれまでより大きく、津波もすぐ来る恐…の画像はこちら >>
海溝型地震の際、プレート境界の浅い部分は「ひずみ」が蓄積されず深い部分が一気にズレても、浅い部分はほとんど動かないと考えられてきました。しかし2011年の東北の地震では、浅い部分が一気に50メートルも動き、それが巨大津波を引き起こしていたのです。
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それまでの定説を覆したこの現象を解き明かすため、JAMSTEC・海洋研究開発機構などは地震の翌年、津波を引き起こしたプレートの浅い部分水深7000メートル地点の掘削調査を行い、地盤の一部を採取しました。すると、プレート境界断層の浅い部分には「スメクタイト粘土」という火山灰の堆積物が全体の80%を占めていたことが分かったのです。
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(JAMSTEC 高知コア研究所 濱田洋平さん)「スメクタイト粘土が多いと、水に濡れた時にヌルヌルになってしまう。これが断層に存在することでこの断層の摩擦を下げているのではないかと考えている」
実は南海トラフの調査でも、プレート境界の浅い部分に「スメクタイト粘土」は見つかりましたが、割合は東北よりはるかに低い全体の20%程度。そこで、研究チームは東北と南海トラフそれぞれの割合で、スメクタイト粘土を入れた試験体を作り地震が起きる時と同じ高温高圧状態で一気に力を加え、滑りやすさを比べました。
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その結果、スメクタイト粘土の割合が少ない南海トラフでも、摩擦は東北とほぼ同じ。やはり浅い部分は滑りやすいことが分かったのです。(JAMSTEC 高知コア研究所 濱田洋平さん)「他の断層に比べてもそれなりに固さを持った断層、少し抵抗する力が大きいのかと思ったんですがやっぱり高速で回すと非常に弱くなるというのがこれで分かりましたね」
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では、次に起こる南海トラフ地震はどんな地震になるのか。JAMSTECの堀高峰さんは、過去に南海トラフ地震が起きた時間間隔やプレートの形状、断層の形などの調査データを入力。「地球シミュレータ」というスーパーコンピュータで計算し、南海トラフ地震の発生シミュレーション研究をしています。その結果、まず東側で地震が起きて、その後西側で地震が起こるパターンがほとんどですが、日向灘で地震が起きた後に西から地震が起きるパターンや東側と西側がほぼ同時に割れるパターンもありました。
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(JAMSTEC 地震津波予測研究開発センター 堀高峰センター長)「次の地震は、規模がこれまで(昭和)より大きくなる可能性がある。揺れも大きくて、(東海の)真下で起き、津波もすぐ来るタイプの地震が想定される」強い揺れと巨大な津波が予想される南海トラフ巨大地震。その時は確実に近づいています。
CBCテレビ「チャント!」2025年3月11日放送より