「キャンプを見ると、その年に活躍しそうな選手を結構当てられるんですよ」今年1月、木下拓哉から聞いた言葉だ。
ドラゴンズ 木下拓哉に聞く「ことし活躍しそうな選手」福永裕基…の画像はこちら >>
「去年だと、橋本(侑樹)ですね。ブルペンや実戦で投げていた球を見て、これは来るなと思いました」と振り返る。実際、昨シーズンの橋本は47試合3勝1敗5ホールド防御率1.73とキャリアハイの成績。侍ジャパンにも選出され、3月5日のオランダとの強化試合では1回無失点と勝利に貢献した。
橋本 侑樹
ならば今年は誰が来るのか。キャンプが終わった翌日、木下拓を直撃。すると、投手2人、野手2人の名前が挙がった。
「大野(雄大)さんですね。毎年、キャンプ序盤は2月下旬の対外試合に合わせて調整するイメージでしたが、今年は2月1日から仕上がっていました。シート打撃も今まではストレート中心で調整の一環でしたが、今年は全ての球種を使ってバッターを抑えに行きました。今年にかける気持ちを感じましたね」
大野 雄大
しかし、大野は2月24日の広島戦で2回2失点。新外国人エレフリス・モンテロに逆転2ランを浴びた。2ストライクからの3球目だった。
「試合前、モンテロには極端な配球で行こうとミーティングで決まっていたんです。1打席目はインコース多めでした。そこで、インコースの厳しい所に2球投げて、2ストライク。ただ、3球目は甘かったです。これで甘い球は一発で仕留めるけど、厳しいインコースは使えそうという情報を得ることができました。打たれたのはあの1本だけでしたから、2回2失点という結果以上に内容は良かったと思います」
大野 雄大
その後、大野は3月5日の阪神戦で3回無失点。12日のオリックス戦では5回パーフェクト。見立て通り、好投が続いている。
「柳(裕也)もいいですね。キャンプあるあるなんですが、キャッチャー同士でよく『今年誰がいい?』という話をするんです。今回は石伊(雄太)、石橋(康太)、宇佐見(真吾)と話しましたが、みんな柳って言うんですよ。柳も今年にかける思いが伝わってきましたし、いつも以上に仕上がっていました」
しかし、柳は2月18日の日本ハムとの練習試合で2回2失点。登板後、右臀部の張りを訴え、別メニュー調整となった。
柳 裕也
「あの試合、僕は出ていないんですが、どうも試合前から違和感があったみたいです。それでも2回を投げ切れたということは大した怪我じゃないと思います」
通常メニューに戻った柳は3月5日の阪神戦で3回1失点。ウエスタン・リーグの開幕戦となった14日のソフトバンク戦は6回無失点。怪我の心配を払拭し、開幕ローテ入りに前進した。一方、野手で真っ先に名前が挙がったのは福永裕基だった。
「去年の自信からか、練習中もオーラが出てきました。実戦で結果も出していますし、今年はいい打順を打つと思います」と話した。キャッチャーはシート打撃などで味方のバッターと対戦するが、福永はどんなタイプなのか。
福永 裕基
「阿部(寿樹・現楽天)さんに似ていますね。右方向に長打が打てるし、狙って引っ張ることもできる。ただ、守備に関しては阿部さんの方が上だと思います。でも、アウトにする執念をものすごく感じる選手なので、期待しています。福永がセカンドにハマるかどうかがチームにとって大きいと思います」
福永 裕基
オープン戦では主に3番を打つ福永だが、3月5日の阪神戦では4番を任され、3安打2打点と活躍した。
さらに木下拓は土田龍空に変化を感じていた。「オフに絶対やってきたなと思いました。明らかにバッティングが変わっています。龍空とは一緒の組でバッティングをすることが多かったんですが、横で柵越えを連発していました。入団当初の龍空はそういう選手だったんですよ。思い切りが良かったし、飛距離もありました」
土田 龍空
「ただ、一軍の試合に出るようになって、ちょっと小さくなっていましたね。キャンプの途中から本来のショートだけでなく、サードやセカンドも守るようになりました。首脳陣が一軍に置いておきたい証拠でしょうね」
土田 龍空
最後に本人の意気込みを聞いた。
「今年は9つも年下の石伊や石橋と一緒に練習しましたが、同じように鍛えてもらいました。何より僕自身が競争の中にいるので、結果を出さないと、試合に出られません。打席でのボールの見え方もいいですし、もっと状態を上げていきたいです」
木下 拓哉
開幕まで2週間。木下拓の予言は的中するのか。今シーズンが楽しみだ。(CBCテレビアナウンサー・若狭敬一)