鹿島が開発した道路橋の床版更新用の設備「SDRシステム」の詳細が「ハイウェイテクノフェア」で公開されました。同システムの使用により道路橋の工事は大きく変わる可能性があります。
鹿島は2024年9月26日、「スマート床版更新(SDR)システム」を用いて広島道の高架橋における床版取り替え工事を行ったと発表しました。同日と27日の2日間都内で行われた「ハイウェイテクノフェア」でも、同システムの点を特徴を詳しく紹介しています。
渋滞キツイ!高速道路のリニューアル工事が“革命的に早く”なる…の画像はこちら >>SDRシステム(画像:鹿島)。
床版は、舗装が載る道路の床板部分にあたり、各地の道路で老朽化が深刻化しています。SDRシステムは、道路橋における床版の全面取り替え工事を想定して作られた装置となっています。
床版取り替え工事は標準的な施工の場合、クレーンで床版を取り外してから橋桁の整備なども行うため、長時間かかるほか、安全確保のため2車線を規制したり、使える車線で対面通行にしたりと、大規模な交通規制が必要です。
SDRシステムは、「既存の床版の撤去」「主桁への防腐剤塗布や表面処理」「高さ調整」「新しい床版の設置」といった取り替え工事で必要な作業を、ひとつの装置で行ってしまうというもの。クレーンや架設機を内蔵した「動く工場」を目指した施工設備です。
方法としては、床版の除去用と設置用の移動式作業台を一定間隔おいて設置し、床版をはがしつつ新たな床版を設置するというものです。鹿島ブースの担当者の解説によると「従来工事だと7時間あたり3枚程度の床版しか交換できませんでしたが、SDRシステムでは30枚可能で、作業時間が10分1に短縮できる」とのことです。
広島道における高架橋の床版取り替え工事では、通常施工の場合21日間の予定だったものが6日間に。じつに70%もの工期短縮となったそうです。
また、標準的な施工方法では60tクラスのクレーンが必要でしたが、SDRシステムの作業台の重量は5tとのことで、道路へのダメージも軽減されるといいます。
さらに、クレーンを使った場合、安全のため旋回範囲に近い位置は通行禁止にする必要がありますが、このシステムはその必要がないそうで、「追い越し車線を工事しながら、走行車線は通常通りの走行が可能で、通行止めにする必要がなくなります」とのこと。同社はこのシステムを活用し、人手不足の是正や工期短縮を目指すそうです。