突然ですがあなたは、海に行ったら何をしますか。
波打ち際を歩いたり、遠くから聞こえる潮騒を聴いたり、海での楽しみ方はさまざまでしょう。
海をかくひと(@towa_sea_art)さんが描いた海の絵をXで公開すると、15万件もの『いいね』が付くほどの反響が集まりました。
海をかくひとさんがキャンバスに選んだのは、片手で持ち歩けるサイズのもの。
「2枚目の冷たさ、肌で感じるくらいに想像できる」「3枚目が特に胸を打たれました」などの感想が寄せられた、美しすぎる4枚の『海』とは…。
海をかくひとさんがつづった言葉と併せて、4つの『海』の違いを楽しんでみるといいかもしれません。
「毎日違う気分で、毎日違う海を描いている」
4枚のキャンバスに描かれているのは、それぞれ表情の異なる海の景色。
キラキラと光る水面や、水面に夕日が反射している様子など、どれも違った角度から海の魅力が描かれています。
海をかくひとさんの絵を見て、多くの人が心を揺さぶられるとともに、称賛の拍手を送りました。
・1つとして同じ波はないのですね。美しすぎる。
・えっ、美しい…。初めて「絵を買いたい」って思った。
・本当に素敵。同じ海に見えて、実は毎日違うんだろうな。
・ああ…潮騒が聴こえる…。言葉にできないくらいすごい。
どのような経緯で海を描くようになったのかが、気になった筆者。絵を描くことに興味を持ったきっかけなどについて、海をかくひとさんに話を聞いてみました。
――絵を描くことに興味を持ったのは、いつから?
5歳頃です。両親に木の大きなパネルと絵の具を与えてもらい、兄弟みんなで汚れを気にすることなく『自分のカタチ』を残せるのが、とにかく楽しかった記憶があります。
それから高校時代は美術部に入ったものの、コンクールなど自分の世界に順位がつくのが苦手だったんです。幼い頃の楽しかった感覚とのズレを感じ「自分は絵の世界が合わないんだ」と思い、高校卒業後は服飾専門学校に進学しました。
しかし、絵を楽しめていた時の感覚がずっとあり、葛藤の末、絵の道に進むことを決めました。
――海をモチーフにしようと思ったのはなぜ?
絵を描き始めるずっと前からなのですが、とにかくキラキラしたものが好きで。シャボン玉やゼリー、クレーンゲームの底に敷いてあるキラキラの石などは、自分にとって宝物でした。
それから大きくなるにつれて、自分の中でキラキラして見えるものが変わっていきました。記憶がある時からは、ずっと水が好きです。
海を描き続けるのは「海で見た景色をポケットに入れて持ち帰りたい」という思いがあるからです。宝物をいつでも見られるようにするための手段でしかないと、今は思っています。
――それぞれの海を描くのに、時間はどれくらいかかる?
海によって完成する時間は全く異なります。6時間で完成する時もあれば、30時間かかって諦める絵もあります。
――海をたくさん描いている中で、感じることは?
同じ海を描いていても表情が全く違っていて、他のモチーフと比べ『描いていれば慣れる』という感覚があまりないような気がします。
だからこそ、完成すると毎回新しい気持ちで喜べるし、海の奥深さを感じて「好きだなぁ」と思う気持ちも大きくなっています。
2024年11月11日現在、アルバイトをしながら毎日絵を描いているという、海をかくひとさん。
来年からは、オンラインにて自身で描いた海の絵を販売するとともに、個展も開催予定だといいます。
海をかくひとさんの描く絵が、船で大海原に漕ぎ出すかのように大勢の人の元へ届いていくのが、今から楽しみですね。
[文・構成/grape編集部]