映画に登場する画家は、たいがいにおいて自分の創作活動以外に興味を持たない。
妻も恋人も創作の原動力にこそなるが、愛とは程遠いような場所に置かれているような気がする。お前の偏見だと言われても仕方がないが、画家のエゴン・シーレなんて、結婚の約束をした恋人をあっさり捨て「大丈夫だよ、君は愛人として僕のそばに居られるよ!」と、のたまうのだ(映画の中の話だけど)。
スクリーンの中のピエールとマルトのカップルも情熱的に盛り上がっていたかと思えば、あっさりと若いモデルにさらわれてしまう。
「この薄情者!」とスクリーンに向かって毒づく私に友人は言う。永遠なものなんて、この世にはない。それでも2人が求め合い、支え合った時間は誰も奪えない。だから、あんな美しい絵が残せるのだよ、と。
(スターシアターズ・榮慶子)
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