あなたの人生がうまくいきますように。あなたの日々が幸せでありますように。
離れて暮らす子への親の思いはそんな言葉に凝縮される。生きるということは、うまくいかないことや、笑えない日々も多いのだと知っているから、なおのこと祈らずにはいられない。
五十嵐大は耳の不自由な両親を持つ「コーダ」として生まれた。幼い頃から両親の通訳を務める感心な子として育つが、それが次第に重荷になっていく。逃げるように東京に出た大に母親は、常に冒頭の言葉をしたためながら息子を気遣う。
子どもは、いじけたり反抗したり無視したり、いくらでも親に盾突けるが、そんな時でさえ、母親は子どもを信じ、祈り続けるしかない。実際にろう者俳優である母役の忍足亜希子のたたずまいが見事で、美しい。
(スターシアターズ・榮慶子)
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