【熊本県】台湾の半導体大手「TSMC」が進出して工場周辺の賃貸マンション・アパート家賃はどう変化した?

アットホームは9月30日、「TSMCの熊本県進出に伴う工場周辺エリアの家賃動向」に関する調査結果を発表した。調査は不動産情報サイト「アットホーム」で登録・公開された熊本県内の居住用賃貸物件を対象に、2021年1~3月と2024年1~3月の家賃を比較・分析した。
○調査背景

2021年10月に台湾の半導体受託製造の大手TSMCが熊本県菊陽町に工場進出を発表して以来、同町および大津町・合志市など周辺エリアの地価が大幅に上昇した。そこで、同エリアの賃貸マンション・アパートの家賃変化について進出発表前の2021年1~3月期と2024年1~3月期をシングル向き・ファミリー向きそれぞれの面積帯で調査した。なお同調査は、アットホームラボが調査・分析している。
○TSMC周辺のシングル向きとファミリー向き賃貸マンションの家賃上昇率(2021年1~3月と2024年1~3月の比較)

マンションの家賃は、大津町のシングル向きで+36.7%と、菊陽町と大津町ではシングル向き・ファミリー向きともに2桁の上昇率となった。両町の平均家賃は熊本市より高くなった。

○TSMC工場周辺の賃貸マンション・アパート家賃上昇率(2021年1~3月と2024年1~3月の比較)

アパートの家賃上昇率は、合志市を含む工場周辺エリア全てで熊本市を上回った。工場周辺エリアの家賃上昇率は、マンション・アパートともに、シングル向きがファミリー向きを上回った。

半導体受託製造の大手TSMCが工場新設を発表した2021年10月以降、従業員や関連企業の住宅ニーズが急増した結果が周辺の家賃上昇率にも表れた。シングル向きの上昇率がファミリー向きを上回ったのは、関連企業を含む従業員や工事関係者など単身者のニーズが高まったことによるものと考えられる。

TSMCは第1工場に隣接する第2工場の建設も発表した。工場周辺エリアでは新築物件の建設が続いているが、地元不動産店からは供給過多、中でも築20年を超える物件の空室増加を懸念する声が聞かれる。同エリアでは商業施設のオープンが相次ぎ、2026年には九州最大規模のアーバンスポーツ施設の開業も予定される。工場関係者以外にとっても魅力ある街になっていくのか、今後の動向が注視される。

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