【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】ソウルの春 独裁の強権 なびく軍人

「人は強い者に引っ張られたい」。後に韓国で長期の独裁政治を行うことになるチョン・ドゥグァンが、クーデター中に放った一言が激しく刺さった。強い統率力と、的確で素早い決断力。リーダーとしては申し分ない素養を持つ彼は、後の独裁者なのだ。
1979年、大統領の暗殺により、民主化の道を進むかと思われた韓国が、一夜のクーデターをきっかけに、一気に独裁政治へと逆戻りした。その一夜の出来事を丁寧に描いた本作。映し出されるのは、「仕方ない」という理由で、反逆者の元へどんどん寝返っていく軍人たちの姿。絵空事に思えたクーデターは、奇跡の成功を収める。
民主主義の理想を壊したのは、無邪気に権力を欲した独裁者だろうか? 「仕方ない」。そんな説得力のない理由で反逆者に従った軍人たちに、私は激しい憤りを覚えた。
(桜坂劇場・下地久美子)
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