台湾のレンタカー旅行では車ごと宿泊ができる「汽車旅館」がおススメです。いわば台湾版のモーテル。しかし、この汽車旅館に関して、近年さまざまな“変化”が見られるようです。
台湾地方部の名所は、公共交通機関でのアクセスが難しい場所が多々あります。台湾は所定の手続きを踏めば日本の運転免許証がそのまま有効なので、運転に自信がある人なら、レンタカーを借り自走で名所を巡るほうが効率は良いのですが、ここで問題となるのが宿泊先です。
各県の中心地にある駐車場付きホテルは総じて高く、安いホテルに宿泊するなら、別途レンタカーを公共駐車場などに停める必要があります。また、中心地は総じてクルマ、バイクとも交通量が多く、できれば通行は避けたいところ。
台湾のレンタカー旅におけるこういった問題は意外と悩ましいものなのですが、そんなときにオススメなのが「汽車旅館」と呼ばれる施設です。「汽車」と聞くとなんとなく機関車をイメージしがちですが、中国語では「クルマ」を指す言葉。つまり「クルマ旅専用ホテル」が汽車旅館です。
地下鉄車内で“愛を育む”!? 地方モーテルのめくるめく「フェ…の画像はこちら >>汽車旅館の鉄道車内を模した「MRT風」の部屋(画像:新北『慾望實境樂汽車旅館』公式サイト)。
いわば台湾版モーテルとも言うべき宿泊施設で、中心地からやや離れた立地にあることが多いものの、クルマごと宿泊できるのでとても便利です。また、中心地のホテルに比べて料金は2~3割安く、それでいて部屋は広めなことが多い点もまた利点の一つです。
利用方法はいたって簡単。クルマごと宿泊施設に入り、入り口受付でチェックイン。指定された番号の室内駐車スペースまでクルマを入れます。おおむね、室内駐車スペースの端に「内階段」があり、それを登ると寝室がある仕組みです。
ただし、近年の台湾では汽車旅館のニーズが減少傾向で「過渡期」ともいわれます。その理由は「移動費が割高になるドライブ旅をする人は、そもそも、そんな安い施設に泊まらない」こと。そして、汽車旅館の多くがもともと「ラブホテル」的な意味を持つところも多く、家族や友人などで巡ることが多いドライブ旅のニーズと少々ズレがあることです。
そんな中、「いっそラブホテルとしての付加価値を持たせたほうが商売になる」と考えたのか、「クルマ旅専用ホテル」という概念をすっ飛ばした部屋を用意する汽車旅館が出始めています。
とある汽車旅館には「漂流船」風の部屋があり、船を模した台座の上にベッドが置かれているほか、壁には海面を進む船上にいるかのようなデザインの壁紙が貼られています。さらに「ジュラシック・パーク」風の部屋もあり、恐竜に囲まれながら愛を育むという寸法です。
さらに別の汽車旅館はフェチ特化型に舵を切り「教室」風の部屋を用意。禁断の愛を分かち合うようです。一方で、鉄道ファン向けか「MRT(地下鉄)」風の部屋も。MRT車内を模したプレイルームのほか、プラットフォームに突然ベッドルームがあるという、かなり無理な設定でしたが、謎の熱意にただただ頭が下がるばかりです。
Large motel 02
ガレージつきの「部屋」が並ぶ汽車旅館。チェックインした後、指定された番号へ(松田義人撮影)。
言い換えれば、これほどまで付加価値を持たせないと成立しにくくなっているのもまた、今の汽車旅館を取り巻く現実です。また、中には汽車旅館を改装し、複数の旅館に名を分けて営業するところも出始めました。これは、旅行予約サイトなどの金額比較などを見て、相対的に金額を調整し、利用者を誘導するためではないかと考えられます。
ちなみに、このようにして新たに開業された複数の旅館全てが、おそらく同じ業者により運営されているものと思われます。