高校生の頃、友人が父親の話をしていた。熱の出た友人をおぶって、休診の札のかかった病院のドアをたたいて、はしごしたこと。その父親の揺れる背中がとても温かかったこと。ひどくうらやましかったのを覚えている。
本作の父親もよく走る。10年生きられないと宣告された娘のために人工心臓の研究に駆けずり回り、誰もが開かないと諦めていた扉をノックし続ける。私財をなげうち、無鉄砲と非難されようが、娘の命を諦めるわけにはいかなかった。
実話なので、その後人工心臓がどうなったか、父親の研究がその後どんな形で実を結ぶのかを知っている。知っていてもなお、迫り来るタイムリミットに恐れおののき、号泣する親の心情が波及して至る所からすすり泣きが聞こえる。
そんな中に高いびきが1カ所。私の父ならいびきの方だ。(スターシアターズ・榮慶子)
◇シネマQ、ライカムで上映中
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