国産高級車のトヨタ「レクサス」に乗るには年収いくら必要ですか?

ベンツなどの輸入車と肩を並べる国産高級車「レクサス」。レクサスは1989年にアメリカで誕生し、2005年に国内販売が開始されてから現在まで高い人気を誇っているトヨタの高級車ブランドです。

あこがれの車ともいえる「レクサス」に乗るには、どのくらいの収入が必要なのか、借入額や車の価格、維持費などをもとに、無理のないカーライフが送れる年収を試算してみたいと思います。

レクサスはいくらで買える?

まずは、レクサスの公式ページから、新車の価格帯を確認してみましょう。
以下は、2024年6月時点の主要なレクサスモデルの価格帯です。

レクサスUX…455万9,000円~565万7,000円
レクサスIS…481万円~850万円
レクサスNX…485万円~772万5,000円
レクサスRC… 581万4,000円~735万2,000円
レクサスES…602万円~728万円
レクサスRX…666万円~901万円
レクサスLS…1,094万円~1,799万円
レクサスLC…1,400万円~1,550万円

モデルによって価格は大きく異なり、およそ450万円~1,800万円がレクサスの価格帯となります。
レクサスの購入方法

ここからは、具体的な金額を示して、シミュレーションをしていきたいと思います。試算するにあたって、レクサスのモデルを決めなければなりません。

レクサスはモデルによって価格が大きく異なるので、レクサスのエントリーモデルの一つであるコンパクトSUV「レクサスUX」と、レクサスの最上級モデルでフラッグシップセダンともいえる「レクサスLS」の2つのケースで考えてみましょう。

購入の仕方は現金一括や、月々の支払いを抑えられる残価設定型クレジットなどがありますが、ここでは一般的なマイカーローンで購入したケースを考えてみます。

●レクサスUX
レクサスUX300hの車両本体価格455万9,000円にオプションや税金や諸費用などすべて加えた価格を500 万円として試算します。

頭金を20%、残りをローン(60回払い、ボーナス払いなし、金利3%)で購入すると、頭金100万円、月々の支払いは約7万円になります。

●レクサスLS
レクサスLS500 I packageの車両本体価格1,094万円にオプションや税金や諸費用などすべて加えた価格を1,200万円として試算します。

頭金を20%、残りをローン(60回払い、ボーナス払いなし、金利3%)で購入すると、頭金240万円、月々の支払いは約17万円になります。
レクサスの維持費は?

ここからは購入後の車の維持費を考えてみます。
一般的に車を所有・維持することでかかってくる費用は以下となります。

・自動車税
・自動車重量税
・自賠責・任意保険料
・ガソリン代
・整備・メンテナンス費用
・駐車場代

それぞれ個別にみていきましょう。なお、レクサスUXとレクサスLSで費用が異なる場合は、分けて金額を出しています。レクサスUXはUX300h、レクサスLSはLS500モデルで試算しています。

●自動車税
自動車を所有する者が毎年納める税金です。税額は、車種や用途、排気量によって変わります。

レクサスUX: 3万6,000円(排気量1.5L超~2L以下)
レクサスLS: 5万7,000円(排気量3L超~3.5L以下)

●自動車重量税
自動車重量税は自動車の重量に応じて課税される国税です。1年ごとかかりますが、新規登録時と車検時にまとめて支払います。

レクサスUX: 1万円/年(車両重量1.5トン超~2トン以下・エコカー)
レクサスLS: 2万4,600円/年(車両重量2.5トン超~3トン以下)

●自賠責・任意保険料
自賠責保険は自家用乗用自動車の場合、年間約1万円となります。任意保険は、保険会社やその人が求める補償内容、等級によって違いがあります。車両保険を含めると年間10万円~20万円程度見積もっておくといいでしょう。

●ガソリン代
全国のガソリン平均価格(2024年5月20日時点)のレギュラーガソリン価格175 円/Lとハイオクガソリン価格186円/Lをもとに、年間1万km走行と仮定して計算します。

レクサスUX: 7万円/年(燃費25km/L、レギュラーガソリン)
レクサスLS: 18万6,000円/年(燃費10km/L、ハイオクガソリン)

●整備・メンテナンス費用
高級車は整備・メンテナンス費用が高額になる傾向があります。特に輸入車は修理のための部品などは現地から取り寄せるため、輸送費が上乗せされます。その点、レクサスは国産ということもあり、部品などが入手しやすいと言えるでしょう。

レクサスを新車で購入すると、「レクサスケアメンテナンスプログラム」という特典がつき、新車登録日から3年間は点検とメンテナンスが無料になります。車検費用はおおまかに10万円~20万円程度が見込まれます。また、タイヤ交換時期には、UXで10万円~15万円、LSで20万円~25万円程度かかると想定しておくといいでしょう。

●駐車場代
駐車場代は住んでいる地域によってまちまちですが、都内では月額平均3万円(年間36万円)、地方では月額平均1万円(年間12万円)が目安となるでしょう。

以上を総合して、年間の維持費を出してみると、レクサスUXは30万円~70万円、レクサスLSは60万円~90万円程度かかってくると考えられます。
レクサスに乗るには年収いくら必要?

年収を導き出す方法はいくつかありますが、まずはマイカーローンの借入額から見合った年収を算出してみます。一般的にマイカーローンの借入上限額は年収の30~40%程度が目安とされています。レクサスは高額な車なので、年収の40%を借入上限額として、それぞれの借入額から逆算して年収を求めてみます。

レクサスUXは借入額400万円なので、400万円÷0.4=1,000万円となります。
レクサスLSは借入額960万円なので、960万円÷0.4=2,400万円となります。

頭金を20%にしているので、一般的にいわれている「車の購入額は年収の半分まで」と同じになります。

次に、返済負担率から年収を出してみましょう。
年間返済額から年収を求める

金融機関によって基準は異なりますが、収入に占める年間の返済額の割合である返済負担率は25~35%以下であることが推奨されています。それを超えているとローンの審査に通りません。今回のように、マイカーローンで購入する場合、住宅ローンやその他のローンも含めての年間返済額となります。

そこで、本稿では住宅ローンの返済もある世帯がマイカーローンで車を購入する例を考えてみたいと思います。

国土交通省の「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」によると、住宅ローン年間返済額は、全国平均で174万円となっています。月々にすると14万5,000万円です。この数値を使って返済負担率から求める年収を導き出してみましょう。

レクサスUXは月々の返済額は7万円なので、合計すると21万5,000万円になります。年間返済額は258万円となり、返済負担率30%で計算すると、求める年収は860万円となります。

レクサスLSの場合は、月々の返済額は17万円なので、合計すると31万5,000万円になります。年間返済額は378万円となり、返済負担率30%で計算すると、求める年収は1260万円となります。

レクサスUX…860万円
レクサスLS…1260万円

ただし、この額はあくまでも銀行がお金を貸しだす年収の目安であって、実際にこの年収が適正であるかは、もう少し具体的に検証する必要があります。そこで、最後に家計収支から年収を求めてみましょう。
家計収支から年収を求める

レクサスUXの場合は、車のローンが月々7万円、車の維持費を年間50万円とすると、月々では約4万円となり、自動車関連費は合計約11万円になります。ここに、住宅ローンの返済14万5,000万円と生活費34万7000円(※1)を足すと、1か月の支出の合計は60万2,000円になります。

可処分所得から60万2,000円を支出してもなお、20%貯蓄ができる家計が理想の家計です。ここから逆算して可処分所得を計算すると、75万2,500円となります。年間の可処分所得は903万円となり、可処分所得を年収(額面)の70%とすると、約1,290万円となります。

レクサスLSの場合は、車のローンが月々17万円、車の維持費を年間75万円とすると、月々では約6万円となり、自動車関連費は合計23万円になります。ここに、住宅ローンの返済14万5,000万円と生活費38万5,000円(※2)を足すと、1か月の支出の合計は76万円になります。可処分所得から76万円を支出してもなお、20%貯蓄ができる家計が理想の家計です。

ここから逆算して可処分所得を計算すると、95万円となります。年間の可処分所得は1,140万円となり、可処分所得を年収(額面)の70%とすると、約1,629万円となります。

※1総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2023年」から年間収入階級別の1,000~1,250の「住居」 「自動車等購入」などを除いた消費支出
※2総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2023年」から年間収入階級別の1,250~1,500の「住居」 「自動車等購入」などを除いた消費支出
まとめ

これまでの話をまとめると次のようになります。

レクサスUX(コンパクトSUV)を購入できる年収は860万円~1,290万円
レクサスLS(ラグジュアリーセダン)を購入できる年収は1,260 万円~2,400万円

年収の下限や上限は借り入れ可能な金額から求めた年収であって、実際に無理のない生活ができる年収であるかは、その人の住まいや家族構成、生活レベルなどによって変わってきます。

また、新車にこだわりがなければ、中古車を買って購入価格を下げる、維持費も工夫することで下げることができるので、レクサスに乗ることを年収だけで諦める必要もないでしょう。しっかりと資金計画を立てて無理のない範囲でカーライフを楽しみましょう。

石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら

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