2022年2月、愛知県一宮市の住宅で幼い娘3人を殺害した罪に問われている母親の裁判員裁判で、懲役23年の判決が言い渡されました。母親は「産後うつ」の症状に苦しんでいた時期がありました。
幼い娘3人を殺害 29歳母親に懲役23年の判決 “もともとは…の画像はこちら >>
判決によりますと、愛知県一宮市の無職、遠矢姫華被告（29）は2022年2月に一宮市の自宅で長女の姫茉梨（ひまり）ちゃん（当時5）と、次女の菜乃華（なのか）ちゃん（当時3）、三女の咲桜（さくら）ちゃん（当時9か月）の首を絞めて殺害した罪に問われています。これまでの裁判で、遠矢被告はもともと真面目で完璧主義的な性格、次女に食物アレルギーがあることがわかると食事をほぼ手作りし、食材も無添加にこだわっていたといいます。
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遠矢被告が結婚したのは2016年で、長女は翌年に生まれました。
しかし、出産後「産後うつ」と診断され4か月間の通院治療を受け、家族旅行ができるまでに精神状態が快復したとして自己判断で通院をやめていました。そんな被告の義理の母親は、ほぼ毎日、朝8時半から午後4時頃まで家に来てサポートしていました。裁判にも証人として出廷し、遠矢被告の育児に対しては「体がだるそうで育児放棄をしているようだったので『子どもが泣いていない？』『洗濯した？』などど頻繁に声をかけた」と話しています。
画：三影祐水
遠矢被告は法廷で義母について「子どもたちを、わが子のようにかわいがってくださいました」と話しています。
3人の子育てをする中で、「スケジュールが立てられない」「計算ができない」「母親としてふさわしくない」などと悩んでいたことも明らかに。（遠矢姫華被告の証言）「子どもたちにやってあげたいことがあるのに、うまくできなかった。『死ね』『消えろ』と声が聞こえて死んだら良いんだって思いました」
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自殺を決意した遠矢被告は2022年2月、3人の娘たちに普段は与えていないファストフード店のパンケーキを食べさせたり、レトルトカレーを購入するなどしていました。その理由は「喜ぶ顔が見たかった」からということです。その後、娘たちの首をコードで絞めて殺害し、自分も首を吊ったり包丁で手首や首を切るなどしましたが死ぬことはできませんでした。
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前回の裁判で検察側は「理想とする母親として生きていく自信がないなどと思い込んで、子どもたちの意思を考えることなく、無理心中を一方的に決意した」として懲役25年を求刑。一方、弁護側は「心神喪失の状態で責任能力や殺意はなく、有罪とすることはできない」と改めて無罪を主張しました。
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（報告：森本琴衣記者）「そして、一般傍聴席30席が1時間半以上前に埋まるなど、高い注目度の中で遠矢被告に判決が言い渡されました」（吉田智宏 裁判長）「主文、被告人を懲役23年に処する」
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11日、名古屋地方裁判所の吉田智宏裁判長は「3人の育児をする中で、母親としての自信を失い、思い詰めて抑うつ状態になっていた」とした一方で「心神喪失・心神耗弱いずれにもあたらず、責任能力を有していた」「殺意があったことは明らか」などとして、懲役23年の判決を言い渡しました。判決後、裁判長から「分かりましたか？」と問われた遠矢被告は「はい」と小さな声で答え、法廷を後にしました。