《貴重な文化財を破損したことを深くお詫びいたします。関係機関の指導に従い、適切に対応してまいります。改めて文化財の保護を徹底してまいります》
6月10日、NHKが番組の収録中、国の重要文化財を破損したことを明らかにし、冒頭のように謝罪した。
破損したのは、同局の『芸能きわみ堂』でのロケのこと。5月24日、国の重要文化財に指定されている香川県琴平町の「旧金毘羅大芝居」で撮影を行った際、撮影担当者が花道から客席に転落。升席を仕切る木製の角材の一部が破損したという。
旧金毘羅大芝居は、現存する日本最古の芝居小屋。建てられたのは1835年。徳川家斉や徳川家慶が治めた時代のことだった。
「明治以降は廃館となりましたが、江戸末期の劇場建築を伝える重要な建築物として保存運動が行われ、70年に重要文化財として指定を受けました。旧金毘羅大芝居では現在でも、年に1度春に歌舞伎の定期公演が開催されています」(社会部記者)
歴史ある文化財の破損。NHKは《出演者や関係者にけがはなく、一般公開や公演などに影響はありませんでした》と報告しているものの、前出の社会部記者はこう語る。
「NHKが重要文化財を破損するのはこれが初めてではありません。昨年4月、朝ドラ『ブギウギ』の撮影中に滋賀県東近江市の百済寺の本堂の廊下を破損したのです。百済寺は聖徳太子が創建したと伝えられ、織田信長の焼き討ちによって一度は焼失したものの江戸時代初期に再建された文化財です。『ブギウギ』の撮影では、ダンスの練習をするシーンを廊下でリハーサルしていた際、床板を長さ10メートルにわたって陥没させたということです」
03年には『ゆく年くる年』の中継準備をしていたNHK大阪の委託業者が、奈良県奈良市の東大寺にある国宝の鐘楼に、勝手に長さ約3センチのくぎを打ち付けていたことが報じられていた。
また、22年には世界遺産に指定されている和歌山県の熊野古道の路面の一部が破損していた問題で、NHKが中継局の設備更新のために無許可で土のうを設置したことが明らかになっている。国史跡は文化財保護法により無許可の現状変更は禁止されており、NHKは《深くおわび致します》と謝罪していた。
文化財に対する軽率な扱いが相次ぐNHK。SNS上では次のような声が上がっている。
《何度目ですか。今放送中の一つ前「ブギウギ」の撮影でも文化財破損やらかしてなかったっけ?ちっとも進歩がないと言うか反省してないというか、ただただ呆れる。受信料盗る資格なし》《朝ドラブギウギでの撮影でも文化財を壊したよね?NHKは教訓を生かさない訳?》《またかよ、NHK。過去に散々やらかしてますよね》