沖縄国際映画祭が終了することになり、県内の観光・飲食業界からは惜しむ声が上がっている。沖縄観光の目玉の一つとして、県経済に貢献してきた同イベント。代わりとなるコンテンツを築けるかが課題だ。(政経部・大川藍、銘苅一哲、大城大輔)
「誘客のイベントが減り、宿泊客の多い那覇市内を中心に影響は出るだろう」。県内200の会員を束ねる県ホテル協会の川端昇事務局長は、映画祭の終了に肩を落とす。映画祭はゴールデンウイーク前に行われることが多く、閑散期の観光客の呼び水として重宝されてきた。
多くの芸能人が登場する国際通りのレッドカーペット会場に近いホテルパームロイヤルNAHA国際通りの担当者は「ホテルの客室から映画祭の様子が見え、国際通りににぎわいをもたらすイベントだっただけに終了は残念」。沖縄ハーバービューホテル担当者も「有名人の方々の長期宿泊を頂いており、それがなくなることはとても寂しい」とがっかりした様子だ。
飲食業界への影響も大きい。県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「那覇市を中心に非常に大きな経済効果がある一大イベントだったのに」と驚く。
組合には県内の飲食店千店が加盟し、うち映画祭のイベントが多い那覇市では400店が名前を連ねる。鈴木理事長は「レッドカーペットの日は国際通りや平和通り、一銀通りなど一帯の飲食店が満席だった」と振り返った。
おきぎん経済研究所は過去3回、経済波及効果を調査している。4日間開催だった2019年に85億4千万円、2日間開催で新型コロナの影響が残っていた23年でも12億1千万円と試算された。担当者は「多くの県外観光客が訪れ、宿泊や飲食、開催期間中の雇用などに影響があった」と指摘する。
ただ、映画祭は赤字での運営が続き、継続性が危ぶまれてきた。主導してきた吉本興業前会長の大崎洋氏は、次年度以降に形を変えてイベントを開催する意向を示しており、映画祭に代わる観光資源の構築と継続が課題となる。
那覇空港ビルディングの担当者は旅客数への影響は避けられないとしながらも、「本土に頼るのではなく、閑散期のイベントを県独自でつくっていかなければ」と話した。沖縄国際映画祭、今年で終了 観光の目玉、県経済に貢献 県内の…の画像はこちら >>