(柳沢彩美アナ)「物流2024年問題」とは4月1日から始まった、人手不足に陥っているトラックドライバーの働き方改革のこと。時間外労働に年間960時間という上限が適用されます。これによって、ドライバーの収入が減ったり、担い手不足が加速したり、配送に遅れが出るのではなどという懸念が上がっています。
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愛知県田原市でトマト農家を営む小川浩康さんによりますと、生鮮食品のトマトは通常、店頭に並んでから1週間ほどで食べごろを過ぎてしまうということなんです。これが2024年問題の影響で輸送力が大きく低下すると、遠くの市場になればなるほど、短時間で配送ができなくなって、鮮度の良い状態で店頭に並ぶ時間が短くなってしまことも考えられるんです。
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(若狭敬一キャスター)ほかにも様々な不安があり、トマト農家の小川さんは「送料が上がる可能性も出てくる。野菜は(値段に)経費が反映されていないので、農家の負担が増える」と話していました。(柳沢アナ)野菜の多くは競りで値段が決まるため、配送料などの経費がかさんでもトマトの売値には反映されず、農家に負担が直撃することになるんですね。
(若狭キャスター)大石さん、例えば200円のトマトを輸送量がアップするので、300円、400円と単純に値段を上げられないものなんですね。(大石邦彦アンカーマン)やっぱり農家の方は自分で価格は決められないと。それでいて市場に運ぶ配送料は自分持ち。一方で、農業資材だけではなく、肥料、飼料、全部値上がりしているので、入りは少なくて出は多いので、2024年問題と言われてるんですが、2024年問題で農家の方は「蚊帳の外問題」だということを視点としては忘れないで欲しいと思います。
(若狭キャスター)野菜以外でも、この物流のコストの問題というのは大きく関わってくるということですよね。
(大石アンカーマン)そうですね、その物流コストがこれから物価に乗っかってくるというふうに思った方がよさそうなんです。これは、トラックドライバーの待遇面を見るとよくわかります。全産業平均と大型トラックドライバーの年間の労働時間を比較すると、全産業の平均は「2112時間」。一方で大型トラックはそれよりも432時間多い、「2544時間」なんです。そして、年間収入も全産業平均が「489万円」。一方で、大型トラックドライバーはそれよりも26万円安い「463万円」です。(2021年、厚労省)
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(若狭キャスター)長く働いていても給料が少ないというのがそもそものドライバーの現状だったということですね。(大石アンカーマン)そうなんです。なので、賃金も含めて待遇を改善しましょうという動きになっているので、賃金が上がった分はどこかに上乗せがくる。その上乗せが物価で、消費者の皆さんの負担が少し重くなるのかなという気はします。
(若狭キャスター)よく言われているのは、物価が上がると同時に賃金が上がってくれば、上がった値段を苦にせず買えるという世の中にもなる可能性が、秘めているとは思うんですが、この辺りはどうですか。(大石アンカーマン)そうですね、物価が上がっても賃金が上がっていけば、これは景気の好循環で、決して景気にとって悪いことではないわけですね。しかしながら、この点を懸念しているのが、中部圏社会経済研究所の難波了一研究部長です。「今後も値上がりが続いてしまうとどうなるのか」聞いてみました。難波さんは「賃上げの恩恵を受けることができる人と受けられない人で二極化するかもしれない」と。
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例えば、賃上げの恩恵を受けることができない人は、物価だけ上がっていくわけなので、ただただ苦しくなってしまうということなんですよ。なので、景気の良い企業は、経済面を考えて積極的に賃上げを行い、個人消費を促して、そして全体が潤うようになればいいかなというふうに思います。