土木学会が14日に、首都直下地震の経済的被害の推計を発表した。首都直下地震が発生すると、復興するまでの経済的な被害が最悪の場合、1001兆円に上るという。建物の直接的な被害は最大47兆円だが、長期におよぶ経済活動低迷の影響が954兆円加わることで、被害総額がGDPの2倍近い規模になる。
政府の地震調査委員会は、首都直下地震が30年以内に起きる確率を70%程度としているから、このままだと日本経済は30年以内に壊滅するということになってしまう。土木学会は、そうした事態を防ぐため、国土強靱(きょうじん)化の投資を急ぐべきだとしており、適切な対策をとれば、長期的な経済被害を4割減らすことができるとしているのだ。
ただ、私はもう一つ対策があると思う。それは首都機能移転だ。92年に成立した「国会等の移転に関する法律」で、首都機能、すなわち国会と最高裁と中央官庁は地方に移転させることになっている。移転先の候補地の一つが福島県だ。私は、今すぐ首都機能を福島に移すべきだと考えている。
原発事故から13年もたつというのに、福島の復興は遅々として進んでいない。首都機能を移転すれば、復興が一気に勢いづくことは確実だ。移転は首都直下地震のリスクヘッジにも、大きく貢献する。移転に伴う費用も、公的負担は数兆円に過ぎない。国土強靱化の費用と比べたら桁違いに少ないコストで、日本壊滅のリスクを減らすことができるのだ。
それなのになぜ、法律まで成立している首都機能移転が一向に進まないのか。それは、政治家が東京の人になっているからだろう。選挙区は地方でも、暮らしは東京という政治家は多い。彼らは地方移住を望んでいない。だから東京一極集中是正は、まず政治家の暮らしから始めるべきだろう。(経済アナリスト・森永 卓郎)