滑走路の長さは、一定ではなく、場所によって長さがそれぞれ異なります。ではこの滑走路の「世界最長」「世界最短」はどこにあり、どのような理由からなのでしょうか。
飛行機が発着するために必要な滑走路は、空港によって長さがそれぞれ異なります。また滑走路を複数もつ空港でも、それぞれ長さが異なることは珍しくありません。ではこの滑走路の「世界最長」「世界最短」はどこにあり、どのような理由からなのでしょうか。
世界一長い・短い滑走路はどこ? なぜそこまで極端な長さなのか…の画像はこちら >>成田空港のA滑走路を離陸する飛行機(乗りものニュース編集部撮影)。
世界で最も長い滑走路としてギネスブックにも認定を受けているのが、中国のチベット自治区にあるチャムド・バムダ国際空港の滑走路です。その長さは5500m。なお、日本の民間空港で最長の成田空港A滑走路、関西空港B滑走路は4000mなので、それよりも遥かに長いことになります。
この空港がここまで長い滑走路を持つのは、その立地が理由とされています。この空港の標高は4334mで、過去には「世界一標高の高い民間空港」のギネス記録を保有していたこともあります。
標高が高くなればなるほど空気が薄くなるため、空気が薄いぶん飛行機が飛び上がるための「揚力」が低下します。そのことから、海面から低い位置にある空港よりも滑走距離を長く取り、十分なスピードを確保することが必要になるのです。
逆に「世界一短い滑走路」を持つ商用空港として知られているのが、カリブ海の群島のひとつであるオランダ領・サバ島のファンチョ・E・ヨラウスクィン空港です。この空港の滑走路はわずか400mしかありません。
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ファンチョ・E・ヨラウスクィン空港(サバ島観光局公式ページより)。
サバ島は急峻な地形が特徴で、空港がこの位置にできたのも、ここが島内でも数少ない平坦な土地だったことが理由とのこと。ファンチョ・E・ヨラウスクィン空港の立地を見ても、滑走路の片方は丘に、もう片方が崖を隔てた海となっています。この場所に空港を作らざるを得なかったのが、「世界一滑走路の短い商用空港」が生まれた経緯といえそうです。
なお、サバ島の観光局は、ファンチョ・E・ヨラウスクィン空港への着陸を「まるで空母に着艦するような感覚を味わえます。着陸の様子は芸術のようです」と紹介しています。