一目ぼれで買っちゃダメ? 4代目「クラウン」を見ながら旧車の心得を学ぶ【学生ライターが見た旧車イベント】

慶應義塾大学自動車部所属(現在は引退)の学生ライターが旧車の大規模イベント「Nostalgic 2days」(ノスタルジック2デイズ)を取材しました! もともと好きなクルマだった「クラウン」の初代、3代目、4代目を展示していた神奈川トヨタ自動車では、旧車デビューの心得を教えていただきました。

やっぱりクラウンはカッコイイ!

神奈川トヨタ自動車のブースに展示されていたのは3代目クラウン、4代目クラウン(前期型と後期型)、初代クラウンの4台です。クラウンというとタクシーで使用されている車両を思い浮かべる方も多いと思いますが、昔のモデルを見ると上品でオシャレでカッコよくて、印象が変わるのではないでしょうか?

3代目クラウンは水色と銀色を混ぜたような絶妙なカラーリングがレトロさを醸し出しています。側面に一直線に入るシルバーのラインがカッコいいですね! ボンネットの両側に付いている丸いミラーがアクセントになっています。

こちらの車両はボンネットの中もホイールもそこらじゅうがピカピカになっており、旧車ライフへの夢を抱かせてくれます。

続いては、「クジラクラウン」とも呼ばれる4代目クラウンの前期型です。「クジラ」というニックネームは、丸みを帯びたボディと2段になったフロントのデザインから付いたとのこと。今見るとクラシカルでカッコいいのですが、当時はデザインが賛否両論を呼んだそうで、「歴代クラウンで最も不人気」といわれることもあるそうです。深緑と銀色を混ぜたようなカラーから高級感がにじみ出ていますね。

4代目クラウンのマイナーチェンジモデル(後期型)は、前期型に比べ角ばったような車両となりました。ロゴも、少し大きくなっていいるようです。ミラーがより現代的な四角型になっていたりして、クラウンの変遷を垣間見ることができます。

初代クラウンが誕生したのは、なんと今から約70年前の1955年です! ザ・クラシックカーな見た目で、丸いフォルムが逆にクラウンっぽくない感じです。丸いライトと牙みたいで強そうなバンパーが素敵ですね。この展示車両、1人のオーナーが60年にわたって大切に乗ってきた車両を神奈川トヨタで引き継いだ貴重なクルマだそうです。
旧車デビューの心得とは!?

クラシックなクラウンは現代の日本で乗ってもカッコよさそうなのですが、神奈川トヨタ自動車の担当者に話を聞くと、旧車を購入するには心得があるそうです。

これらの展示車両は一見すると珍しそうで、さぞかしお高いのだろうなと思いますよね。しかし実際は、もし売る方も買う方も特別な価値がないクルマだとみなせば、「使用済み車両」ということでたったの1,000円しか値段が付かないのだそうです。それでも、売買する人たちがクルマに特別な価値を見出すからこそ、数百万円、数千万円で旧車が売れるという話になるとのことでした。昔のクルマの売買に関するしきたりやルールは少し話を聞いただけでは理解しきれませんでしたが、もはや定価はない世界ですから、価格がどうやって決まるのかは興味深い部分ですね……。

なので、カッコいい旧車に一目ぼれをしたとしても、言い値ですぐに購入してしまうのではなく、そのクルマがどんな状態なのかも含め、いったんは立ち止まって考えてみるのが吉だと担当者は話します。価値を見極めた上で、納得の行く価格で手に入れることが大切ということですね。

車両を購入したとして、次に気になるのは旧車の維持費用ですね。

まず、担当者によると、20代くらいの若い女性でも、こうしたクラシックカーに乗っている人は一定数いるようです。

車両のパーツについては、50年前のクルマであっても代わりのパーツが存在することはあります。ただし、100%全てを完璧に治すことは不可能です。例えばゴムのパーツなどは劣化が早いため、純正を確保することは厳しいそうです。

神奈川トヨタ自動車では外部の会社と連携し、3Dプリンターを使って旧車のパーツを復元する取り組みを進めているそうです。新品を作るには高いコストがかかることもあるそうですが、そういう場合は、同じ旧車を持つ方達とのコミュニティ(オーナーズクラブ)に所属して折半することで、支払いを抑えることもできるとのことでした。同じパーツを1個ではなく、同時にたくさん作ることができれば、生産コストも安くなりますよね。

独特のデザインや構造、魅力的なエンジンの音など、今のクルマにはない魅力が満載の旧車。新車のように保証はなく、パーツの確保に苦労する可能性もありますが、同じクルマが好きな仲間と協力すれば、楽しい旧車ライフを送ることができそうです!

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