《レントゲン画像が不穏すぎる》《右肺の外側に胸膜肥厚あるんですが》《初め見た時胸膜ばかり目がいって、線路気づかんかった》
日々の生活や産業に不可欠な食料や石油などを運び、物流を支えている日本貨物鉄道株式会社(以下、JR貨物)。3月8日にXの公式アカウントで“ある広告”を投稿したが、解釈などをめぐってざわつきを見せている。
投稿では《線路の果たす役割について、少し考えてみませんか》と呼びかけ、同日付の北海道新聞に掲載された「レントゲン篇」の広告を公開。人体の胸部レントゲン写真が大きく写し出され、左右の肺を挟んで中央の脊椎部分に電車のレールが敷かれているようなデザインが。
左下に小さな文字で《それは、ただの線路じゃない》のキャッチコピーが入っており、外枠には北海道支社の表記や《Life Line Rail 物流は生命線》の文字が記されている。
しかしXでは医療従事者と思われるユーザーたちから、冒頭のような声が相次ぐことに。また“健康不安”が指摘されるレントゲン写真だけに、広告やデザインの意図に対する関心も高まっていた。
《これってaiアートなのかなー?》《だれのレントゲン画像?》《社員さんのだとしたら闇深なレントゲン》《それくらい日本の物流は瀬戸際という暗喩だったら…》《身を粉にして頑張ってますって事でしょうか?》
11日に本誌がJR貨物に取材を申し込むと、13日に広報担当者より書面にて回答があった(以下、カッコ内は全て担当者)。
まず広告のテーマについて、「これまでのシリーズでも一貫して訴求してきたとおり、今回のレントゲン篇でも『貨物列車輸送の重要性」をテーマにつくっております」とコメント。同社ではこれまでも様々なデザインで広告作品が制作されており、担当者は胸部レントゲン写真を使用した広告の意図をこう解説した。
「『線路』を『背骨』に見立て、『物流の大動脈』であることを比喩的に表現しました。『ただの線路じゃない。』というキャッチコピーは、下にある『LIFE LINE RAIL』にかかっております。ビジュアル同様に、『日常における貨物列車の重要性』を表現しています」
体を支える背骨を線路に見立てることで、「鉄道路線に関する問題提起をさせて頂いております」とのことだった。
またXでも指摘があったように、広告に使用したレントゲン写真の素材については次のような説明があった。
「あくまでも一般的な健康な人の『レントゲン写真』という理解で大手写真素材サイトにて購入したので、詳細は分かりかねます。但し、購入後、線路を際立たせるため、元画像をレタッチ加工し、コントラストを強調をしております」
広告のメッセージとは裏腹に、思わぬかたちで注目を集めてしまったようだ。