3月2日、高知で行われたライオンズとの練習試合、試合後のメディア対応で吉井理人監督は開幕投手を明言した。
「開幕は小島です。去年の成績を見ても小島しかいない」
指揮官はそう告げるとニヤリと笑った。振り返ると昨年12月23日に中山競馬場のパドックで行われたトークショーイベントで開幕投手最有力候補として小島和哉の名前を口にして周囲を驚かせた。
イベントの最後で「ファンの方、何か質問はありますか?」と自ら呼び掛けると一人のファンが「開幕投手は?」と声を上げた。誰もが、きっと、はぐらかすだろうと思っていた中で、すかさず「現時点で小島と思っています」とキッパリと言い放った。もちろん、メディアは「吉井監督 中山競馬場で来季の開幕投手をサプライズ発表」という見出しで報じた。
このことについて指揮官は「あれは意図的だった」と教えてくれた。「分かっているやろうなというメディアを使ってのメッセージ。アイツならきっと分かってくれると思った」と振り返った。
小島はこのイベントでの発言は友人を通じて聞いている。「友達から突然、『おめでとう』のメッセージが届いて、え? 何の事と思った」と笑う。そして「先発投手として誰だって開幕に投げたいという思いはある。もちろん自分の中でも、ずっとそこに投げるつもりで準備をしてきました。監督からのメッセージを受け取ったつもりです」と話す。
□ ■ □
正式に指揮官から伝えられたのは2月3日。石垣島キャンプ第1クール中だった。練習後に球場内の小部屋に呼ばれると「小島、開幕頼むぞ」と声をかけられた。小島は「ありがとうございます。頑張ります」と力強く答えた。そこにお互い多くの言葉はいらなかった。強い信頼関係があるからこその短いやりとりだった。
「自分の中で、もう去年は去年のことと割り切っています。また一から結果を残していく。気持ちが入っています。しっかりと開幕から結果を出して、チームに貢献したい。優勝したいと思っています」と小島。
すでに5年ぶりとなる本拠地ZOZOマリンスタジアムでの開幕戦のチケットは完売。早くも大きな盛り上がりを見せている。そのマウンドに背番号「14」が上がる。昨年、仙台でのシーズン最終戦で勝てば2位、負ければ4位という土俵際のゲームで見事な投球を見せ、チームを浮上させた男が今度はリーグ優勝に向けたスタートダッシュの立役者となる。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)