将棋の駒は「押し駒」「書き駒」など大きく5種類 最高級品は「盛上駒(もりあげごま)」 タイトル戦で個人所有の駒が使われる意味は?

藤井聡太八冠に伊藤匠七段が挑戦する将棋の棋王戦。2月24日に石川県金沢市で行われた第2局では、能登半島地震で被災した珠洲市在住の塩井一仁さんが所有する将棋駒が使われました。そこで、将棋の駒についていろいろ調べてみました。
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(柳沢彩美アナウンサー)将棋のタイトル戦で使われるコマは、将棋連盟が用意をするものの他に、開催地で用意するものというものがあるそうです。対局会場となるホテルや寺などが所有しているものだったりするそうですが、今回の棋王戦第2局では個人所有の駒が使われました。
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駒を所有する塩井一仁さんが将棋連盟の関係者であったということもあって、使われることになったそうです。今年1月に行われた王将戦では、気象予報士の森田正光さんが所有する駒が使われました。王将戦の主催者に知り合いがいたということから、使われることになったそうです。
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タイトル戦で使われる駒に基準はないんですが、大体「盛上駒(もりあげごま)」という種類の駒が使われるそうです。では、将棋の駒にはどんなものがあるのでしょうか。
将棋駒の産地として知られる山形県天童市によりますと、コマの作り方は大きく分けて5種類あるそうです。
「押し駒」と呼ばれるものは駒に文字をスタンプで押したもので、比較的安価です。「書き駒(かきごま)」は駒に漆で文字を書いたものです。
「彫駒(ほりごま)」は、印刀(いんとう)という小刀で文字を彫ったもの。「彫埋駒(ほりうめごま)」は掘った溝に数回に分けて漆を入れ、駒の表面の高さまで埋めた高級品です。さらにその上を行くのが「盛上駒(もりあげごま)」です。彫埋駒よりも文字の漆をさらに重ねて盛り上げたもので、将棋の駒の中で最高級とされています。プロのタイトル戦で使われるのはこちらだということです。
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(夏目みな美アナウンサー)将棋の駒にもいろいろランクがあって、技が細かくなるほど高級品になるんですね。大石さんは、天童市で将棋の取材をされたことがあるんですよね。
(大石邦彦アンカーマン)そうですね。将棋の駒の聖地とも呼ばれていますが、藤井八冠の師匠の杉本八段と一緒に取材したことがあります。
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天童市で彫師の国井孝さんにお話を伺いました。この道76年の大ベテランで、下書きなしでフリーハンドでいきなり彫刻刀を入れて、「王将」という字をものの3分から4分ぐらいで彫りあげてしまう伝統工芸士の方なんです。
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このような大ベテランでも、将棋の駒がタイトル戦で使われることは大変栄誉なことだということでした。国井さんの駒は、これまでに6つのタイトル戦で使用されたということです。その一つが2004年に山形県天童市で行われた第52期王座戦第4局です。当時の羽生王座との森内竜王の対局で使われたそうですが、箱書きといって、駒の箱の裏蓋の裏に対局した棋士の羽生さんや森内さんの署名が入るんだそうです。署名が入るとタイトル戦で使われた証になり、10万円くらい価値が上がって約60万円で販売されたということでした。
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将棋のタイトル戦で駒が使われるということは、名誉であると同時に、駒自体の価値も高まることでした。
(CBCテレビ「チャント!」 2024年2月26日放送)

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