“絶対に見てはいけない祭り”を300年の歴史で初めて撮影 画面越しに見るのは問題ないという愛知県田原市の「寝祭り」

2月14、15日と愛知県田原市の神社で「絶対に見てはいけない」と言われる祭りが行われました。見ると神罰が下るという言い伝えがある厳しい祭りですが、今回、ある理由からその撮影が許可されました。なお、祭りの様子をテレビやパソコンの画面で見るのは問題ありません。安心してご覧ください。
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愛知県田原市の久丸(ひさまる)神社。ここで、旧正月に行われる「寝祭り(ねまつり)」は、「絶対に見てはいけない祭り」だと、300年以上前から言い伝えられています。実際、祭りの当日は地元の神戸小学校でも。(学校の先生)「帰った後は寝祭りなので、家の人から言われていると思いますが、見ないようにしてください」
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学校の先生も「見てはいけない」と呼びかける「寝祭り」とは、いったいどんなものなのでしょうか。地元の人に聞いてみると。(地元の人)「ここに来て64年になるけど見たことがない」「見てはいけない祭りで基本的に見ません」やはり「絶対に見てはいけない祭り」。地元の人ですら何をしているか知らないといいます。
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うっかり見てしまうことがないようにと、祭りの時間を知らせる看板も立てられます。もし祭りを直接見てしまったら、どうなると言われているのでしょうか。(大森愛子宮司)「見ると神罰が下ると昔から言い伝えられていて、屋根の上に登って(寝祭りを)見て、落ちて亡くなったとか、目が見えなくなったとか…」
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祭りの由来ははっきりとはわかっていませんが、地元では後醍醐天皇の子孫「久丸様」が都から逃れ、人目を避けながらこの地に身を隠していたことが、起源の一つとも伝えられています。(久丸神社 氏子)「徒歩で神戸大宮神社までご神体を担いでいきますので、途中でリタイアのないようお願いしたい」
寝祭りは300年以上にわたって、宮司たちが口伝えで受け継いできました。ただその一方で、「絶対に見てはいけない」という厳しいルールが、祭りの継承には課題となっています。(大森愛子宮司)「(寝祭りを)知らない人が多くなっている。歴史上の人物をかばって守ってきたという地域の人の優しさをずっと伝承していきたい」
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そこで今回、寝祭りのカメラ撮影が許可されました。ここからご神体を運ぶ映像も出てきますが、画面越しに見る場合は問題ありません。
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午後2時。まずは神社で祝詞をあげます。そして、ご神体を担いだ氏子総代と宮司は、約600メートル離れた神戸大宮神明社(かんべおおみやしんめいしゃ)へ。このご神体を運ぶ行列を、直接見てはいけないと言われています。
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言い伝えの通り、行列を見に来る人の姿はありません。でも万が一、この光景を直接見てしまった場合はどうなるのでしょうか。実は、祭りにはこんな「救済ルール」が用意されていました。(大森愛子宮司)「3日目に“謝罪祭”というおわびのご祈祷があるので、(見た人には)その時に来ていただく」
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最終日の「謝罪祭」で祈祷を受けることで、無病息災が約束されるというのです。取材班も直にご神体を見たため、祈祷を受けました。(祈祷を受けた人)「家のガラスに映ったのを偶然見てしまってさっと目を背けたけれど、あれはそうだと思って」「初めて見てしまって、子どもがその後、熱を出したので来ました」
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謝罪祭で大森宮司は、祈祷を受ける人たちに対して「(寝根祭りを)見てどうしようと困ったり、恐れないで、災いを呼びこまないようにしてください」と声を掛けました。
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まずは「絶対に見てはいけない」祭りを知ってもらいたい。神社は今、思い切った改革に乗り出そうとしています。(大森愛子宮司)「参加型の寝祭りにしてみたらどうかなと。忘れ去られない形、若い人たちが伝承しやすい形に変えていくのも必要なことでは」来年以降は謝罪祭で祈祷を受けられる人は、行列を見ても良いという形にできないか検討しているといいます。
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「絶対に見てはいけない祭り」。その方法を変えながら、祭りの伝統と地域住民の優しさは受け継がれていくことになりそうです。

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