アジア系元郵便局経営者が人種差別被害を告白 「500万円着服」の偽供述を強要される

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アジア系の元郵便局経営者が、文化的背景から金銭着服の可能性を示唆されたと告白した。裁判に持ち込まれ無罪になったものの、不足金を払い経営していた郵便局は、売却に追い込まれたという。『The Guardian』が伝えている。

元郵便局経営者のクルディープ・カウア・アトワルさんという女性は、運営していた郵便局支店から3万ポンド(約500万円)を着服したという濡れ衣を着せられたことを明らかにした。
1997年に裁判に発展したこのケースは、郵便局本部の監査役はアトワルさんがイギリス系アジア人という経歴のため、犯罪に関係しているという主旨を示唆したのだという。
証拠がないにもかかわらず、文化的偏見が示唆されたことから、裁判官はアトワルさんに無罪判決を言い渡した。しかし郵便局本部は返済を要求したとともに、契約上も不足金を補う義務があったため、市場価格の数分の1の価格で支店を売却しなければならなかったという。

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アトワルさんの証言によると、郵便局本部は郵便局員を人種別に分類した文書を作成していたという。その文書には、「ネグロイドタイプ」「中華系・日系タイプ」「黒色系ヨーロッパ人タイプ」などと有色人種のみを分類して記載しており、後にこの件に関し謝罪していた。
アトワルさんは当時を振り返り、郵便局本部から「文化的背景が犯罪に影響しやすいため、自白しない限り実刑判決を受ける可能性が高いと強要された」と話し、その圧力は限度を超えており、夫や周囲の人々に対する心情的な苦痛も抱えていたとも告白している。

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アトワルさんは当時、経理処理のために富士通のITソフトウェア「Horizon」の前身である「Capture」システムを使用していた。郵便局の内部文書によると、Captureにはシステム自体の脆弱性が指摘され、早急なアップグレードが促されていたと記されている。
郵便局の監査員は、システムエラーにより消失した可能性のある3万ポンドは、アップデートを怠ったヒューマンエラーとの見解を示唆し、アトワルさんに対する不当な告発や誤判例を生じさせたと言えそうだ。
この事案は現在も調査が進行中で、1999年のHorizonシステム導入以前のケースについて提起された懸念に対処することを目的としているという。

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