「津波来てるぞ!上がって!」避難呼びかけも…高齢者の“津波避難” 難しさ浮き彫りに【新潟・上越市】

新潟県内で唯一、津波による住宅被害があった上越市港町では高齢者世帯が多かったことから原則・徒歩とされる津波避難の難しさが浮き彫りとなりました。

【記者リポート】
「津波被害のあった上越市港町では、小学校の屋上が避難場所となっていました。当時は180人ほどがこちらに避難していて、多くの人が海から来る津波を見ていたと言います」

地震による津波の影響で、15棟の住宅で床上・床下浸水の被害が発生した上越市港町。

指定避難所となっていた建物の屋上で撮影された動画には、当時の緊迫した様子が記録されていました。

【動画】
「津波来てるぞ。上にあがれ」
「堤防(を津波が)乗り越えてる」
「あがって、あがって」

【上越市港町 自主防災組織責任者 小泉秀夫さん】
「ここだと堤防を越えるのが見える。防潮堤を越えるのが。だから余計に心配だったと思う」

東日本大震災では車での避難が渋滞を招き、逃げ遅れにつながった事例もあったことから、現在は津波が発生する恐れがある場合、原則“徒歩での避難”が呼びかけられています。

しかし、こちらの地域は高齢者世帯が5割近くにのぼっていて、徒歩での避難が難しく、車で避難した人も多くいました。

【80代(車での避難)】
「高田へ向かったが、渋滞で1時間かかった。自分で駆け出す体力もないし、車で行くことしかできない」

また、寝たきりの夫と息子の3人で暮らす白川キヨ子さんは、渋滞で車での避難ができず、徒歩での避難も困難なことから自宅の2階に垂直避難していました。

【白川キヨ子さん】
「手を引いて連れて行くだけでも大変。避難というのは本当に難しい。すぐなんてできない」

上越市港町ではこうした問題点を洗い出そうと、町内会などが主体となって独自のアンケートを実施。今回の地震の教訓を生かしてさらなる対策を立てたいとしています。

【上越市港町 自主防災組織責任者 小泉秀夫さん】
「一番大事なのは命あっての物種。いち早く逃げてもらわなきゃいけないが、避難の方法とかそういうものを考え直さなくてはいけないと、今の段階で思っている」

また、今回の地震を機に津波への対応を変更する自治体もあります。

長岡市はこれまで避難指示の基準を設けていませんでしたが、津波警報・大津波警報の発表と同時に、沿岸部には避難指示を発令することを決めました

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