「店の人気ナンバー1」「ロレックスを売りつけられそうに」…稼いでいたのに超金欠だったモラレス容疑者の金策トラブル「フィリピンに子どもを置いてきたって…」〈足立区・床下夫婦遺体〉

東京都足立区の民家の床下から50代の夫婦の変死体が見つかった事件で警視庁捜査1課は1月22日、新たにフィリピン国籍の男で職業不詳、デラ・クルース・ブライアン・ジェファーソン・リシン容疑者(34)=茨城県土浦市=を死体遺棄容疑で逮捕した。この事件の主犯とみられる同国籍のモラレス・ヘイゼル・アン・バギシャ容疑者(30)と共謀、今月16日に同区千住緑町の住宅の床下に、この家に住む高橋徳弘さん(55)と妻の希美江さん(52)の遺体を遺棄した疑い。警視庁は殺害についても関与している疑いがあるとみて、2容疑者を追及している。
デラ・クルース容疑者は昨年7月に技能実習生として来日。現場周辺の防犯カメラ映像にモラレス容疑者と一緒に映っており、共犯とみて行方を追っていた警視庁が22日に茨城県内で身柄を確保、「間違いありません」と容疑を認めている。この事件ではモラレス容疑者がかつて交際していた高橋さんの長男との間に金銭トラブルを起こしていたことがわかっており、警視庁もこれを動機とみて調べを進めている。モラレス容疑者は来日後に都内のフィリピンパブで働き、ナンバー1になるほどの人気を誇っていたが、結婚と出産、帰国、離婚など目まぐるしい環境の変化とともに多額の借金を抱え、生活費に困っては借金を繰り返してたという。集英社オンラインは今回、浅草のフィリピンパブ時代の同僚女性から詳細な証言を得た。
モラレス容疑者(本人SNSより)
「私がアヤ(モラレス容疑者の源氏名)と初めて会ったのは、今は摘発されて閉店してしまった浅草のフィリピンパブです。今から6~7年前ぐらいの頃だったと記憶しています。彼女は身長も高く、胸も大きかったし、顔も写真の通りで綺麗な子。日本人受けする顔ということもあってすぐに人気が出ました。私の知る限りはランキングで上位3位には入っていました。ただ、私たちが働いていたお店はナンバー入りしていても30万~40万円くらいの稼ぎでした。100万円とか稼げるわけではないので、贅沢はできないものの生活には困らないくらいは稼げていました」モラレス容疑者はブランド好きだが贅沢をするわけではなく、ふだんもユニクロで買い揃えた服などを着ていたという。日本語は達者、しゃべりも上手で、接客はニコニコ笑顔を絶やさずおとなしい感じだったという。
モラレス容疑者の自宅(撮影/集英社オンライン)
「浅草の店にいたのは1年くらいで、結婚をいつしたのか正確な時期はわかりませんが、2017年くらいに妊娠したから店を辞めるという話になっていました。結婚した相手はフィリピンと日本のハーフで年も彼女と近く、店のオーナーの息子という話もあります。それでモラレスは浅草のお店を辞めて、フィリピンに戻りました。詳しい話は聞いていないのですが、店の関係者とお金を借りた借りないで裁判になり、それもあってフィリピンに帰ったのだと思っていました」
ほどなく浅草の店が摘発されて閉店、この同僚女性は上野のフィリピンパブで働くようになった。そして2019年ごろ、その店でモラレス容疑者と再会することになる。「再会したのは、コロナ前のことでした。アヤは生まれた子どもはフィリピンに置いてきていて、旦那ともうまくいかず別れたということでした。アヤは『旦那はお金がなかった』『生活費にも困っていた』と話していましたが、別れた原因はアヤが浮気したからとも言っていました。アヤはこのころ、『家賃が払えない。生活が苦しいからお金を貸してほしい』と私にも借金を申し込んできたことがあります。『ちゃんと働いているのになぜそんな苦しいの』と尋ねると、彼女は『いろいろ支払いがあって』と口ごもっていました」
モラレス容疑者(本人SNSより)
同僚はこの際、モラレス容疑者に10万円を貸したが、きちんと返済してくれたという。「彼女は『ありがとう』と10万円を返してくれたので、生活は大丈夫なのかなと思っていました。でもそれ以降も、アヤはお店の同僚や知り合いの女の子からお金を借りていて、徐々にその借金が返せなくなっていったと耳にするようになりました。そんな話が広まりだして、ある日突然、アヤは音信不通になりました。借金の相手にはお客さんもいたようで、彼女は界隈の人たちからだいぶ探されていました。電話番号も変わって連絡もつかなくなったので、私はてっきりまたフィリピンに帰ったんだと思っていました。向こうには子どもも残してきていましたからね」
遺体で発見された高橋希美江さん (本人SNSより)
最近ではモラレス容疑者の話題もすっかり出なくなり、存在自体を忘れかけていたころ、今回の事件のニュースが飛び込んできた。「フィリピンでもニュースになっているようで、向こうの友達から『同じ名前だし、あのモラレスじゃないか』と知らされ、本当に鳥肌が立ちました。あんなにおとなしくて綺麗な子がなぜそんな事件にって……。そもそも何であんなにお金に困ってるのかもわかりませんでしたが、それでも人を殺したりするようなことに関わるなんてまったく想像ができない子でしたから。事件のあとにいろいろな友達から聞きましたが、足立区の竹の塚や埼玉のフィリピンパブでも働いていたみたいです。日本にいるのにも驚きましたが……」
デラ・クルース容疑者の自宅(撮影/集英社オンライン)
また、上野のフィリピンパブ時代を知っているという別の知人男性は、モラレス容疑者が借金まみれになり逃げ出す直前、高級腕時計を売りつけられそうになったという。「俺は何度か会ったことある程度だけど、本当に普通の子って感じだったよ。綺麗でおとなしくて。客には人気はあっただろうけど、まぁ、それだけで売れるほどフィリピンパブも甘くはないからね。上野にいたのは2年前くらいで、その頃はこの辺の女の子とかお客さんからお金借りたりしていなくなったな。その後のことは知らないんだけど、“飛ぶ”前に『ロレックス買ってくれませんか?』って周囲の人間に言い回ってて、俺にも電話してきたよ。興味がなかったから何のロレックスかも聞かなかったけど、金には困ってたんだろうな。何で金に困ってるのかは聞いたことないけどな」容姿や物腰からはうかがいしれない闇を内在していたのか。モラレスの母親は一部現地メディアに「娘がそんなことをするはずがない」「悪いやつに騙されたんだ」と話していたというが…モラレス容疑者が関わった犯行の全貌はまだ、見えない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする