【安藤優子の本音】被災地支援に休息確保の視点加えて

元日の夕闇が迫るころ、突然の緊急地震速報のけたたましい音に驚き、以降2度目の速報では震度7の揺れが能登半島を襲ったということが分かり、結果、珠洲市の木造家屋は9割が全・半壊状態などという現在に至る、とんでもない大災害であることが突き付けられました。ひっきりなしの余震、寒さ、インフラの断絶、道路の遮断と、犠牲になられた方も増える一方です。
ここまで被害が大きくなった要因として、高齢化とそれに伴う古い木造住宅の耐震化工事の遅れも指摘されています。そうした施策が進まなかった理由は置いておいても、この地震で避難している主に高齢の方々の様子を見ていると、これだけ何度も地震の被害を繰り返し受けて来た日本にもかかわらず、まだまだ避難場所としての環境整備ができていないことに、胸が苦しくなります。
床に敷くのは段ボール、仕切りも段ボール、毛布などの備蓄が配られているとはいえ、足腰に問題を抱えることが多い高齢者には、段ボールベッドのような少し高さがある設備でなくては、起き上がるにも難儀するのです。
世界的な建築家の坂茂さんが紙のロールパイプを使って仕切りを作り、カーテンを吊(つ)るしてプライバシーを確保することを実践されています。坂さんとは、あらゆる地震の被災地等で必ずお会いしてきました。いち早く被災現場に飛んで来られて、避難されている被災者のみなさんの生活環境を整えようと尽力されていました。
段ボールベッドなどは不要な時は畳んで備蓄しておくことができます。避難が長期化する場合、少しでも安心して体を休める場所があることは、命の確保に直結します。ぜひ被災現場の支援に、休息の確保の視点を早急に加えていただきたく思います。(キャスター)

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