これも作戦!? 軍用機の色「グレー系」が大流行の理由 “騙し合い”だけじゃないメリット

最近の軍用機は戦闘機や輸送機も含め、グレーぽい色が多いのはなぜでしょうか。実は飛ぶときにこのカラーの方が都合がいいのです。
軍用機といえば、昔のイメージから緑色や迷彩柄などを思い浮かべるかもしれません。しかし、2023年現在の航空自衛隊の軍用機は、F-15、F-35、C-2などグレーっぽい地味な色をまとっている機体が増えてきました。それどころか、尾翼などにある部隊マークまでグレー系統の色の場合もあります。
これも作戦!? 軍用機の色「グレー系」が大流行の理由 “騙し…の画像はこちら >>下のC-1に比べ後継機であるC-2のカラーリングは地味目(画像:航空自衛隊の写真を編集部で加工)。
このようなカラーはアメリカ軍や、最近日本の自衛隊と共同で訓練することもあるイギリス軍、お隣の韓国といった西側陣営に共通して見られる現象です。
F-22やF-35戦闘機は塗料もステルス性に影響するため、特殊な塗料の色がグレーで統一されている――こう言われると分かりますが、なぜ他の軍用機までグレー主体の地味な色になっているのでしょうか。
このグレーっぽいカラーリングを世界の軍隊では「ロー・ビジビリティー」、略して「ロービジ」と呼んでいます。日本語にすると低視認性といった意味となります。
低視認性ということで、もちろん迷彩を意識したカラーリングとなっています。艶のないグレー系の色は、曇り空や霞んだ空に溶け込み上空での見分けがつきにくくなる効果があります。
さらにステルス機の特注塗料をのぞけば、この系統の色は低コストに抑えられるそう。新規で納入される戦闘機や輸送機、哨戒機、さらには一部ヘリコプターなどもグレーが採用されており、西側陣営で流行のカラーになっています。
例えばアメリカ軍の場合、輸送機はグレー単色、戦闘機はグレー系2色で塗装しています。なかには、カナダ空軍のCF-18「ホーネット」ようにグレーを主体にしながら、機首下面にキャノピーを模した「フォルスキャノピー(だまし絵)」を塗装し、上下の見分けもつきにくいようにした機体もあります。
さらにアメリカ軍では2023年現在、軍用機の部隊マークはもちろん、ラウンデル(国籍マーク)や、機体表面に描かれている注意書きまでロービジ化しています、C-130やKC-130といった輸送機では、胴体に書かれた「US AIR FORCE」の文字や、尾翼に大きく目立つように表記されていた文字や部隊マーク、尾翼番号、その他の識別マークを削除あるいは小さくグレー系表記にするというロービジ化を行っています。
2023年3月には、アメリカ空軍の輸送機や空中給油機などの運用を行う航空機動軍団が、機体に描かれた識別情報の大部分を隠すか目立たなくさせるように指示しています。
これは空軍の方針としてセキュリティ強化のために行っているようです。大きく部隊名や識別番号などが表記されていると、それだけ、敵対的な勢力に情報を与えることになります。控え目な色にして視認可能な情報を減らそうとしているのです。
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アメリカ海兵隊のC-130は機体の認識番号まで目立たなくなっている(画像:アメリカ海兵隊)。
ちなみに、ロシア空軍の戦闘機は、西側とは異なる特殊な迷彩パターンの塗装になっていますが、これは「フェリス迷彩」や「折線迷彩」と呼ばれるもので、明暗の異なる直線的なパターンを配置することで機体の姿勢や輪郭を認識しにくくする効果があります。同軍では、活動地域によって白黒灰、緑黄茶など使用する色が異なっています。

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