年末年始に向けた準備が進む中、この時期に注意が必要となるのが特殊詐欺の被害です。新潟県内では今年、158件・約3億8000万円の被害が出ています。電話1本で相手を信じ込ませる卑劣な犯行の手口とは…
【医師を名乗る男】
「もしもし、私○○病院の耳鼻咽喉科の山下と申しますが、○○様は息子様でいらっしゃいますでしょうか?」
これは岐阜県に住む高齢女性のもとにかかってきた実際の音声です。医師を名乗る男は専門的な病名を伝えることで相手の不安を煽ります。
【医師を名乗る男】
「今、息子様がのどが痛いということでこちらに来ていて、少し診させていただいたところ、のどにポリープが見つかっておりまして。喉頭乳頭腫という疑いがある病気なんですね」
この直後、今度は息子を名乗る男から電話が。
【息子を名乗る男】
「もしもし、ちょっとのどの調子が悪くて、のどの奥に腫瘍ができていると言われた」
【女性】
「今、耳鼻科の先生が電話くれた」
息子役の男は、のどの調子が悪いことを強調。このときは病気の報告のみで終わりますが、再びかかってきた電話で…
【息子を名乗る男】
「さっきまでそっちに電話するときに、病院だから公衆電話で電話していたんだけど、財布と携帯を公衆電話の上に置きながら電話していて、そのまま忘れてしまった」
すると、今度は「財布を発見した」という病院の警備員を名乗る男から電話が入ります。
【警備員を名乗る男】
「財布だけ見つかっていて、院内放送で呼び出しているが本人が来ないので、伺っていたこの番号に連絡した。(携帯電話は)盗んだ犯人が持っている可能性があるので、本人から見つかったという連絡があるまでお母様のほうからは連絡しないようにお願いします」
母親側から息子に電話をしないよう強調します。すると、間髪入れずに息子役から電話が。
【息子を名乗る男】
「きょう、県に納めなければいけないお金があったんだけど。きょう中に納めなければいけなかったから、まずいことになって」
これまでの電話で息子が市役所勤めということを聞き出していた犯人グループ。
見つかった財布の中身は盗まれていて、仕事上で今すぐ必要なお金を貸してほしいと母親に伝えます。
【息子を名乗る男】
「家には今、いくら現金がある?」
【女性】
「100万円くらいかな」
この後、4人目の登場人物が現れます。
【息子の知人・タカハシを名乗る男】
「お母様、タカハシです。息子さんが今、吐血してしまった(救急車の音)」
救急車のサイレン音まで使い不安を煽ると、息子役に電話を代わり…
【息子を名乗る男】
「さっき言ってたタカハシさんの息子さんがね、決済だけは終わらせなければいけないから、わざわざそっちにお金を取りに行ってくれている。家の場所が分からないと言っているからすぐに出てあげて」
この後、女性は詐欺の受け子とも対面しましたが、自宅にいた孫が不審に思い、被害は免れました。
こうした劇場型の特殊詐欺の電話は岐阜県だけでなく、県内でも相次いでいます。
ATMが使えない年末年始に備え、お金を多く引き出す人も増えるこれからの時期は注意が必要となる一方で、対策を立てる時期としても有効です。
【新潟署 阿部吉晴 署長】
「年末年始に自宅等に帰省されたときには近況をしっかり伝える。もし、電話がかかってきたときに、お互いに合言葉を決めるとか、そういったことをしていただければ少しでも被害を防げるのかなと考えている」