北陸新幹線の延伸に伴い、並行在来線の運営を担っているえちごトキめき鉄道が3月14日、開業から10年を迎えました。厳しい経営状況が続く中、地域や観光客に愛される鉄道として新たな挑戦が始まります。
3月14日、直江津駅のホームで行われたえちごトキめき鉄道の開業10周年記念セレモニー。【えちごトキめき鉄道 平井隆志 社長】「この10年、大きな事故、長期にわたる運休も発生することなく、安全な輸送を提供できたことは、私ども最低限の責任は果たせたと感じている」10周年を鉄道ファンも見守りました。【鉄道ファン(神奈川から)】「日本海ひすいラインの青海駅と親不知駅の間で海がきれいに見えるところがある。青い海と小豆色の列車のコントラストがきれいに映る場所があり好き」えちごトキめき鉄道が開業したのは、2015年3月14日。北陸新幹線の延伸に伴いJRから経営が分離され、第三セクターとして誕生しました。【えちごトキめき鉄道 嶋津忠裕 社長(当時)】「『地域に愛され、地域とともに地域の未来をつくる』をスローガンに、弊社は3月14日から営業を開始します」
この10年で特に存在感を示したのは、リゾート列車『雪月花』です。【乗客(千葉から)】「地元(新潟)のものとか、色々味わえると聞いているので楽しみ」2023年度には前年度に比べ、20%増の7366人が乗車。インバウンド需要のほか、貸し切り運行も人気となり、去年にはなんと…「いつも笑顔の絶えない明るい家庭を築くことを誓いますか?」「はい、誓います」列車内で結婚式が行われるなどユニークな企画を打ち出してきました。
その一方で、2023年度は6300万円の赤字を計上するなど、経営面では厳しい状況が続いています。今後も赤字が予想されていて、県と沿線自治体は、再来年度から向こう7年間で見込まれるトキ鉄の資金不足の額に最低限必要な運転資金2億円を加え、22億円の支援を決定。【えちごトキめき鉄道 平井隆志 社長】「会社としてはこれに甘んじることなく、安全や職員の処遇に関わるものではないコストについては、聖域なき見直しをしっかり図った上で経営努力をしていきたい」今後は、企業に対し「環境にやさしい」として、車ではなくトキ鉄での通勤を呼びかけるなど、日常的な利用を増やすことにも力を注ぎたいとしています。
3月14日、10周年を迎えたのは、北陸新幹線の駅も。【松村道子キャスター】「10周年の上越妙高駅。すぐ近くの商業施設は、駅の10周年を非常に明るい予感を持って迎えています」コンテナを店舗にして展開する商業施設『フルサット』。【フルサット 平原匡 代表】「オープンしたころは正直空き地が目立つ状況だったが、お立ち寄りいただくような施設ができてきて、交流人口が増えてきたのは実感している」中でも期待を寄せるのは…【松村道子キャスター】「この冬は海外からの観光客が非常に多かったということです」【フルサット 平原匡 代表】「まだまだ、インバウンドが我々の事業の核になっているとは言えないが、非常に増えている」妙高地域ではリゾート開発が進められているほか、北信越エリアを周遊する観光客も増えていて、平原さんは今後、地域が一体となった動きが必要になってくると考えています。3月14日、トキ鉄のセレモニーで披露された地元の小学生のメッセージでは…【直江津南小学校の児童】「僕たちが高校生になったとき、働くようになったとき、家族ができて旅行に行くときなど、これからの未来でもたくさん、たくさんお世話になります」開業から10周年。そのレールがより明るい未来につながっていくことが期待されます。