返金手続き装いお金をだまし取る「PayPay詐欺」が急増…なぜ騙されてしまうのか?専門家が解説

ネット通販で買った商品が、まさかの欠品。「払った代金はどうなる?」と問い合わせたら、「返金はPayPayで」と誘導された挙句、お金をだまし取られるーーそんな「PayPay詐欺」が横行している。
国民生活センターによると、同様の相談は2023年春ごろから寄せられ、2024年には2247件。2023年の2.5倍に急増したという。
「返金はPayPayで」という初手から怪しさを覚えるが、なぜだまされてしまうのだろう。ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さんに聞いた。
「被害者はネット通販で商品を購入し、すでに代金を支払っています。もし返金されないと大損すると焦るのでしょう。行動経済学では『損失回避の法則』といいますが、人は“得をする”より“損したくない”気持ちが強いもの。損を避けるため、なんとしても返金してもらわねばと詐欺師に従ってしまうのでしょう」(高橋さん、以下同)
どんな手口なのだろう。
「使うのはPayPayなどコード決済の『送金』です。これは、PayPayユーザー同士なら相手のPayPayIDを特定し金額を入力すれば手数料無料で送金できる機能。詐欺師は送金ページに誘導し、“返金のための決済コード”などと偽って6ケタの数字を入力させます。実はそれが送金額で、詐欺師にお金を送ってしまうことになります」
PayPayの画面には「送金」と出ているのでは?
「使い慣れている人は送金ページだとわかり、だまされることはないでしょう。ただコード決済に慣れていない人は、言われるがままに操作することに必死で、画面の隅々まで見てはいないのでしょう」
詐欺にあわないために気を付けることは?
「購入するネットショップが信頼できるかを見極めてください。配送元が個人名などの場合は避けたほうが無難です。連絡先が明確に表示され、決済方法がクレジットカードや銀行振込、代金引換などたくさん用意されていることも安心材料になります。
また、店舗の見極めがむずかしいと思う人は、楽天市場やアマゾン、ヤフーといった大手ネットショッピングモールで購入するといいでしょう。トラブルの際はこうしたショッピングモールが対応してくれます」
やってはいけないことは?
「“今だけ限定9割引き”といった極端に安い広告をクリックし、そのまま購入しようとするのは危険です。必ずその商品の公式サイトを確認してください」
夜中のネットショッピングや「酔った勢いでポチッ」は、怪しいサイトに引っかかる可能性が高い。ネット通販は簡単だからこそ、細心の注意が必要だ。

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