【桜坂劇場・下地久美子の映画コレ見た?】二つの季節しかない村 大自然と人の弱さ対比

自然界において、とにかくちっぽけで弱い存在の人間は、木々や草花のように、降りかかる災害を黙って受け入れることができない。嫌なことを遠ざけるため知恵を駆使し、手に入れた、快適で安全な生活の中でフィジカルを弱め、寿命を長くした。そして今日も、嫌なことを見つけては不満を覚え、新たな逃げ場を求めたり戦争をしたり。
本作は、大自然と時間という圧倒的な存在に、小さくて弱く、わがままで横暴な人間を対比させることに挑戦している。主人公は人間の愚かさの縮図のような男、サメット。彼の言動の端々に自分の嫌いな部分を見つけては「ウチアタイ」が止まらない。
ただ、映し出されるトルコの東アナトリアの厳しく美しい大自然と歴史の前では、愚かな彼も、愚かではない誰かも、全てが小さくいとおしい存在に思えてくる。(桜坂劇場・下地久美子)
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