[社説][2024 衆院選]あす公示 「政治とカネ」に審判を

衆院選が、あす15日公示される。自民党の裏金事件後、初めての総選挙だ。政治不信を招いた「政治とカネ」の問題に審判を下す機会となる。
石破茂首相の首相就任から衆院解散、衆院選投開票までは、いずれも戦後最短である。
総裁選では早期解散に慎重な姿勢を示していたものの、結局、内閣支持率が比較的高い「ご祝儀相場」のうちにとの思惑が働いたのだろう。
有権者に政権選択の材料を十分提示する間もなく、27日の投開票まで12日間の短期決戦に突入する。
忘れてはならないのは、岸田文雄前首相が退陣に追い込まれた理由である。
旧安倍派など派閥パーティーに絡む巨額の裏金事件で表面化した政治とカネの問題によって、国民から事実上の不信任を突き付けられた形だった。
「選挙の顔」が新しくなろうとも、まずはそのことが問われなければならない。
裏金事件を受けた政治改革では、使途公開不要の政策活動費の是非や、「抜け穴」だらけの政治資金規正法の再改正が焦点となっている。
衆院選公約では、野党が政策活動費の廃止や、企業・団体献金の禁止を提唱しているのに比べ、自民は踏み込み不足が目立つ。
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裏金事件同様、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係も大きな問題となった。だが疑惑は十分払拭されず、組織的関与を含め、再調査を求める声が強い。
そんな中、2013年の参院選前に当時の安倍晋三首相が教団会長らと面談したとされる新たな疑惑が浮上している。
裏金事件と旧統一教会問題の「二重の闇」。今回の衆院選は岸田政権3年間を含めた自民党政治への審判ともなる。
個別政策では日米地位協定の改定も争点の一つだ。
石破首相は、12日に開かれた日本記者クラブ主催の討論会で「必ず実現したい」と述べた。
ところが、その主張は自民党の衆院選公約には反映されていない。どの部分をどのように変えようとしているのかはっきりしない。
少なくとも県が求める改定との共通点や相違点について、有権者が見極められるよう説明すべきである。
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沖縄4選挙区には計16人が立候補を表明している。
地位協定改定に関しては、全選挙区の共通争点として、具体的に政策を競い合うべきだ。
名護市辺野古の新基地建設を巡っては、大浦湾側での工事が進んでいる。しかし完成までは12年以上。この間、普天間の危険性除去をどのように進めるのか。
実質賃金がマイナスに転じる中、物価高から家計を救う対策も待ったなしだ。 有権者が「沖縄の未来」を選べるよう、活発な論戦を展開してほしい。

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