韓国の反発も…地元の悲願成就まであと一歩 “佐渡島の金山”世界遺産登録に向けた歩み【新潟】

世界文化遺産登録を目指す佐渡島の金山について、文化庁は6月6日、ユネスコの諮問機関・イコモスが追加の説明を求める「情報照会」を勧告したと発表しました。

登録は7月のユネスコ世界遺産委員会で結論が出ることとなりましたが、これまで地元の新潟県と佐渡市が世界遺産登録に向け、どのようにアプローチしてきたのか、その歩みを振り返ります。

世界遺産登録を目指す地域の活動は1990年代に遡ります。2006年には…

【泉田知事(当時)】
「起きても世界遺産、寝ても世界遺産、お風呂入っても世界遺産」

2010年、文化庁が世界遺産登録に向けた国内の暫定リストに追加。

2015年には、国に対し本登録に向けユネスコに推薦するよう推薦書の原案を提出し、登録への活動が本格化しますが…

【文化審議会】
「審議の結果、長崎の教会群とキリスト教関連資産を本年度の推薦候補として選定した」

【文化庁の会見】
「百舌鳥・古市古墳群を選定致しました」

【佐渡市 三浦基裕 市長(当時)】
「すみません。大阪になってしまいました」

4年連続で国内のライバル候補に敗れ、ようやく2021年、国内推薦候補に選定されます。しかし、その翌月…

【文化庁】
「国内推薦候補の決定は推薦の決定ではなく…」

従来、政府は文化審議会の決定通りにユネスコに世界文化遺産の推薦を行ってきましたが、「今後、政府内で総合的な検討を行っていく」という異例の文言を付け加えて発表。

背景には韓国が「戦時中、朝鮮半島出身者が過酷な労働をさせられた場所だ」と反発していることがありました。

【ソウル支局 熱海吉和 特派員】
「韓国外務省報道官が『韓国人の強制労働の被害現場だ』とした上で、『直ちに撤回を促す』と強い反発を示している」

一方で、政府への働きかけを強める動きも。

【安倍元首相】
「論戦を避ける形で登録を申請しないのは、間違っているんだろうと思う」

こうした後押しもあり、最終的に政府がユネスコへの推薦に踏み切ったことで世界遺産登録に向けたチャンスを迎えました。

しかし、去年11月には登録の可否を審議する世界遺産委員会の委員国に韓国が選任。今年4月、韓国のユン・ドクミン駐日大使は…

【ユン・ドクミン駐日大使】
「我々は、反対はしていないということ。つまり全体の歴史と追悼する空間がなんとかできれば」

強制労働を含めた「歴史全体を説明する展示が必要だ」と主張しました。

【林官房長官】
「韓国とは誠実に議論している。引き続き、丁寧に議論する」

懸案事項を乗り越えて世界遺産に…長年にわたる地元の悲願の成就まであと一歩です。

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