【デカ盛り一品400円!?】上板橋「花門」、30cmの大皿料理がこんなに安くて大丈夫!? – 4品実食&インタビュー

「デカ盛り料理の値段」というと、皆さんはどのくらいの金額を思い浮かべるだろうか。だいたい1000~2000円くらいかな~、と思っていた筆者にとって、今回取材に訪れた居酒屋『花門』は衝撃的すぎた。

オムライスにから揚げ、爆盛りのサラダにイランの創作料理……。約30cmの大皿に盛られた料理すべてが税込み「400円」なのだ。

カウンターに置かれた箱ティッシュを余裕で上回るサイズの料理が400円とは、チェーンの居酒屋なんて比べ物にならないほど安い。

この記事では、花門のデカ盛り料理4品の実態と、男前なマスターに聞いたデカ盛り&激安居酒屋誕生のきっかけを紹介するぞ!
○30年以上続く上板橋の居酒屋『花門(カモン)』

東武東上線の上板橋駅から歩くこと約5分、『花門(カモン)』に到着。赤と緑ののれんが目立ってわかりやすい。

マスターの名前が「マンス」さんだからか、引き戸の横の立て看板には”お待ちしておりマンス”なんて素敵なダジャレが。

デカ盛りで有名な店にもかかわらず、”お料理全品400円”というマクド〇ルドもびっくりの価格も記載。どんな料理か、ますます気になる……。

さっそく店内に入り、メニューを注文! 種類が豊富すぎてかなり悩むが、まずは個人的に好きな『オムライス』から頼んでみよう~。
○誇張なしでデカいっ…!? 驚愕サイズの料理4品

そんなわけで、さわやか笑顔のイラン人マスターにオムライスを注文。400円のオムライスって、大盛りといえど「せいぜいファミレスくらいのサイズかな~」なんて思っていたら……

えっ?

えっ?

えっ?

め、めちゃくちゃデカいっ…!?

写真のみだとわかりづらいのだが、このオムライス、重さはなんと約3kg。「大盛り」メニューの想像をはるかに超えるデカさなのである。

玉ねぎたっぷりのチキンライスは、シャキシャキした歯ごたえとやさしい甘さが最高。卵はほどよい半熟で、塩気のあるチキンライスをまろやかに包み込んでいる。

しかもこのオムライス、なんとデカめの豚肉入り。肉のじゅわっと広がる脂まで楽しめて400円とか、本当か……??

そして、まだまだ花門のデカ盛りは続く。『から揚げ』『おまかせサラダ』を頼んだら、カウンター席1人分が余裕で埋まるサイズの皿にのった料理が2品登場してきた。

おまかせサラダは、筆者所有のiPhoneXRと並べるとiPhoneが名刺くらいに見えるデカさ。物価高、とくに野菜の値上げが叫ばれている昨今なのにマジで大丈夫…??

生野菜の横には、ポテトサラダが「添え」のレベルじゃない量で添えられていて満足感たっぷり。背面には、花門の横にある豆腐屋さんで購入した豆腐が丸々一丁盛られていてタンパク質も十分すぎるほど補える。

ホントに山のように積まれたから揚げは、数あるメニューの中でも特にマスターのこだわりがつまった品。マスターは他の飲食店に行くたびにから揚げを注文しているらしく、日々の研究が活かされたパリッパリの衣が楽しめる。

鶏肉はジューシーで、お酒によく合う濃いめの味つけ。から揚げの後ろにはファミレスのLサイズサラダ位の量は余裕でありそうなほど野菜が盛られていて、塩気のあるから揚げとの相性がピッタリすぎる。

めっちゃくちゃに山盛りだったし、そろそろ終わりにしようかな~……、と思ったが、キッチンの棚に貼られた「イラン」と名前に入っているメニューを複数発見。

マスターが出身地であるイランを思って創作したメニューらしく、どんな料理なのか気になったので『イラン人気ロール』を注文してみた。

出てきたのは、ジャガイモや異国の豆が薄焼きの生地に巻かれた料理。ブリトーに近い見た目のメニューだが、他の3品と同じくとんでもなくデカい。

中の具には青菜や紫キャベツ、細切れの肉まで入っていて想像以上に深みのある味わい。ジャガイモと豆のホクホクした食感が、イランの”お母さん”の優しさを漂わせている気がする。(筆者はイランに行った経験はないが)

こんなに大盛りだと「食べ切れない」問題が発生しそうだが、なんと店で出された料理はすべて持ち帰りOK。しかも、持ち帰り用のパックと輪ゴムを無料でくれてしまう。

一人暮らしの筆者にはありがたすぎる制度で、今回持ち帰った4品のおかげで3日間のランチを花門の料理だけで賄えた。

ここまで頼んだ4品すべてが400円とは思えないデカさで、冗談抜きで経営が心配になる『花門』。今年で還暦、花門オープンから31年目を迎えたマスターに話を聞いたら、心根が男前すぎた……。
○なんでこんなに安くてデカ盛り? 「花門」マスターに聞いてみた

――400円均一のデカ盛り料理を始めたきっかけを教えていただけますか?

花門がオープンして2年目くらいの時にきた妊婦さんと旦那さんの会話をきっかけに、料理の値段を安く統一しました。

当時はメニューごとに価格が違ったのですが、妊婦さんが「サイコロステーキを食べたい」と旦那さんに言ったら、「予算がないから安いのにして」と。結局、800円のサイコロステーキではなく、店で一番安い380円の焼きそばを注文していて……。

ちょうどその時うちの奥さんも妊婦さんで、僕はそれを聞いて「値段を気にしないで食べたいものを食べてほしいな」って思ったんです。

その時に「全部のメニューを焼きそばと同じ値段にすればいいのか! 」と考えて、その日の夜にメニュー表の料理の値段をすべて380円に書き換えました。(現在は消費税の関係で400円に変更)

そうしたら、ご夫婦がもう一度来て、サイコロステーキを注文したんです。あまりに嬉しくて、そのサイコロステーキを前回食べられなかった分も含めて2倍の量で提供したのがデカ盛りのきっかけです。

――マスターは、どのような経緯で居酒屋を開いたのでしょうか?

もともと自分が通っていたお店が閉店することになり、その場所を受け継いだのがきっかけです。

花門の前は、ここはママさんが1人でやっているお店で。当時の僕は学生として通っていたけど、ママさんの具合が悪くなって店を閉めることになったんです。常連さんたちがすごく寂しがっていたので、じゃあ僕が店を引き継ぎます、って流れで居酒屋の店主になりました。

花門をオープンしたときには”店を何店舗も経営する”とか、”家や車を買う”とかのビッグな夢があったけど、380円(当時)均一での料理提供を始めたときに、その夢はお預けにしました。

儲からないから旅行には行けないし、17~18年は国にも帰っていない。料理の値段をすべて同じにしたときに周りから「すぐに潰れる」って言われたけど、とにかく粘ってここまできました(笑)

――これほど大盛りの料理を400円で提供できる理由をお聞かせください。

昼間にいろんなバイトをしたり、ひたすら物を買わずに節約したりして値段を400円に抑えています。

はじめはここまで大盛りじゃなかったんですけど、昔、花門によく通ってくれていた大学生さんがいて。その子はよく食べるんだけど、食べきれなかった分は持って帰っていて。どうするの? って聞いたら、「冷蔵庫に入れて食べる」って。

その子が持ち帰れる分を増やしたいな、と思って大盛りの量をさらに増やして、周りのお客さんにも不公平にならないように増やして、っていうのを繰り返して、気づいたらここまで大盛りになっていました。

――物価高が続いていますが、値上げや量の変更を考えることはないのでしょうか?

値上げも量を減らすことも、今は考えていません。花門の名前で店を営む限りは、400円もデカ盛りも続けたいと思っています。

値上げをするとしたら、花門じゃない店にするかな……。今はネットで値上げや量を減らしたしたことがすぐに伝わる時代だし、今の店の方針を貫いていくつもりです。

――最後に、花門のマスターとしてのこだわりや思いをお聞かせいただけますか?

僕は学生時代から日本にいて、日本のいろんな人たちに助けられてきました。だからこそ、自分も”義理と人情”を大切にして、たくさんの人を笑顔にしたいと思っています。

メディアの取材もYouTubeの撮影も断らないから、よく「出たがりだね~」って言われるけど、自分としては「受けた恩を返している」って感覚で。昔お客さんが全然こなかったときにテレビに出て助けられたから、断らないようにしているんです。

落ち込むことも悩むこともあるけど、それは17時まで。17時を過ぎて、花門の開店時間に近づいたら、とにかく陽気な性格に切り替えています。

内面で自分が泣いていても、お客さんには楽しんでほしいから。ピエロみたいにどんなときでも明るく振舞うって決めているんだ。
○デカ盛り居酒屋「花門」、なんか泣きそうになる店だった

お客さんの幸せを思うマスターの、かっこよすぎる思いがつまった居酒屋『花門』。料理はほぼほぼ赤字らしいので、店に来た際はぜひドリンクも頼んでほしい。

SNSで「デカ盛り」の話題にあがっているのを見て気軽に訪れた店だったが、想像以上に温かく義理堅いマスターの思いにマジで感動。

絶対また訪れたいし、マスターにも幸せになってほしい……。
○居酒屋 花門

住所:東京都板橋区上板橋3丁目6-7
営業時間:17:30~24:00
定休日:火曜日
公式サイト:居酒屋 花門

三山 てらこ みやま てらこ 横浜生まれ横浜育ち。グルメと深夜ラジオを愛するNPO職員(2023年4月~)。FP2級。銃弾を防ぐ少年団と、ポケットに入るモンスターも大好き。最近の悩みはアイスの買い置きが一瞬でなくなってしまうこと。 この著者の記事一覧はこちら

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