製薬会社の科研製薬(東京)と琉球大学が沖縄県内で広まっている「抵抗性」のアタマジラミの処方薬の治験に取り組んでいる。シラミのうち、沖縄は抵抗性アタマジラミの検出率が約96%と全国一高い。市販薬は2千~3千円と高額だが、治験が成功し、病院で処方薬が出せるようになると中学生以下は実質無料で治療できるようになる。琉大皮膚科学講座の山口さやか講師は「保護者の負担が大きく対処できない場合もあるため、新たな処方薬が必要」と治験への協力を呼びかけている。(中部報道部・又吉朝香)
県内では2000年ごろから、市販の治療専用シャンプーでは効かない抵抗性アタマジラミの感染が広がっている。国立感染症研究所(06~10年)の全国調査によると、他県の抵抗性アタマジラミの検出率は10%に満たないが、沖縄は95・9%と突出して高い。欧米では1990年代から確認され、何らかの形で本土より先に沖縄へ持ち込まれたとみられる。
シラミは人の頭髪に寄生して卵を産み、人から人へ感染する。頭がかゆくなり、耳の後ろや後頭部の毛根に楕円(だえん)形の卵のようなものが付き、ふけと違って簡単に取れない場合はシラミに感染している可能性が高い。抵抗性のシラミは既存の薬が効かず、かゆみがひどくなる。不眠や頭をかき過ぎて傷ができ、そこから細菌が入って感染症を引き起こすケースもある。
治験では、医師がシラミの卵の確認や血液検査などを行う。約2カ月間で5、6回、最寄りの医療機関に通院する必要があり、負担軽減費として来院1回につき1人当たり1万~1万5千円が支払われる。
治験の問い合わせは治験応募専用コールセンター、電話0120(907)902、またはhttps://www.searchmytrial.com/lp/headlice/?sid=2928&utm_source=offline&utm_medium=newspaper&utm_campaign=kk_headlice_202504から。
[ことば]アタマジラミ
体長2~3ミリ程度の虫。人の頭髪に寄生して頭皮から吸血し、かゆみを引き起こす。頭部同士の接触や寝具の共有などが原因で、特に保育園や幼稚園、小学校で広がりやすい。感染症は季節に関係なく、年中発生する。人から人へ感染し頭がかゆくなるアタマジラミ 既存薬が効かない…の画像はこちら >>
「抵抗性」のアタマジラミについて説明する琉球大学皮膚科学講座の山口さやか講師=20日、宜野湾市喜友名の琉球大学病院