繁殖力が極めて強い “肉食外来魚”ブラウントラウト すでに川魚の7~8割を占める 根絶目指し駆除作業つづく 岐阜・飛騨市

生態系を破壊する生き物の問題が深刻です。岐阜県飛騨市では、雪が降る中、肉食外来魚の駆除が行われました。
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岐阜県飛騨市を流れる小鳥川。12月6日、雪が降る中で地元の漁協組合員5人が外来生物の駆除を行いました。それは…。(漁協組合員)「ブラウントラウト。60センチある」
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ヨーロッパ原産でサケ科の肉食外来魚、ブラウントラウトです。体長60センチを超える巨大な肉食外来魚。このブラウントラウトがやっかいなのは成長が早く、他の魚を食べてしまうほか、繁殖力が極めて強いこと。水の冷たい川を好み、北海道や秋田県などでも繁殖が確認されていて、日本の侵略的外来種ワースト100に数えられます。
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(宮川下流漁業協同組合 森下真次 組合長)「他の魚種を食べるということで、元々いたイワナとかを食べるので食害が心配」
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小鳥川では釣り堀用に養殖していたブラウントラウトが、20年前の台風で養殖場から流れて以降、大量に繁殖したとみられ、イワナやヤマメなどの在来の魚を食べたり、餌を奪ったりするなど生態系を破壊。
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(漁協組合員)「7割8割がブラウントラウトですね」漁協は毎年、在来種を守るべく、ブラウントラウトが産卵期を控え川の水量が少なくなるこの時期に、電気ショックによる駆除を行っています。
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この日、川で確認されたイワナは24匹、ヤマメが16匹だったのに対し…。なんとブラウントラウトは150匹が捕獲されました。
こうした状況に専門家は。
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(岐阜大学 地域科学部 向井貴彦 教授)「繁殖しているのは間違いなくて、半日で150匹はかなり多い。ブラウントラウトは何十年も前から色んな所で養殖されている。どこでも川に定着して増え始めるリスクはいっぱいある。日本の渓流魚よりも強くて、どんどん増えてしまうので、『渓流のコクチバス』と言ってもいい魚」
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この「コクチバス」も肉食外来魚です。去年の夏、岐阜県では繁殖が大きな問題となりました。
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ブラウントラウトの駆除が行われた飛騨市から南西に70キロほど離れた場所にある郡上市のため池で、何者かが放流したことがきっかけとみられ大量繁殖。県の職員ら50人がかりで駆除が行われました。
問題のため池は約3キロ先で清流・長良川とつながっていて、川に生息するアユなどの在来種が危機にさらされました。
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問題のため池は約3キロ先で清流・長良川とつながっていて、川に生息するアユなどの在来種が危機にさらされました。しかし根絶には至らず、最終的には池の水を全て抜いて完全駆除。
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さらに長良川では滋賀県から取り寄せた電気ショッカーボート「いなずま丸」を使って駆除。岐阜県はこのコクチバス対策に1億円以上の予算を投じ、大掛かりな対策に乗り出したのです。
そのコクチバスと同様、生態系への深刻な影響が懸念されるブラウントラウトもなんとかしなければなりません。
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長野県では有効活用するため、ブラウントラウトとニジマスを交配させて養殖魚「信州サーモン」を開発。
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アメリカのバイデン大統領が、おととし来日した際の夕食会やG7の外相会合でも振舞われました。養殖サーモン特有の臭みがないのが特徴です。
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(岐阜大学 地域科学部 向井貴彦 教授)「魚は乱獲するといなくなると言われるが、数を減らすことはできるが全部取り尽くすのは本当に難しい。外来種問題には、どれも付きまとう話で、根絶できない限りは(元の小鳥川を)取り戻せないかもしれない」
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飛騨市を流れる小鳥川のブラウントラウトは根絶に至る手立ては見つかっておらず、漁協は今後も地道な駆除作業を続けていく予定です。(宮川下流漁業協同組合 森下真次 組合長)「ブラウントラウトが釣れたときは川へ戻すことなく処分してほしい。他の河川やこの河川には放流してほしくない」

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