街の伝統残すシンボルへ 築64年の商業ビル改修 千葉市中央区

千葉市中央区の千葉中央駅前で築64年を迎えた3階建て商業ビル「文化堂ビル」の改修工事が完了し、7日に関係者向けの見学会が開かれた。随所に昭和の趣を残しながらシックな外観に再生。新しさの中に街の伝統を伝えるシンボルを目指す。
見学会はデザインを手がけた不動産会社の高品ハウジング(同市若葉区)が主催した。同社によるとビルは当初、文房具店の支店として建設された。鉄筋コンクリート造で当時としては珍しい3階建て。文房具店の撤退以降はテナントビルとして利用されてきた。
今回の改修では、主に耐震化のため柱と壁の増強や各配管の整備を実施した。丸みを帯びた形状や特徴的な窓枠といった外観だけでなく、階段の手すりなど内装の一部は既存の設備を活用。当時の左官職人が仕上げた人工大理石部分をあえて残し、現在の工法では再現が難しい趣ある雰囲気を引き出した。
2、3階はそれぞれ飲食店が入居することを想定し、ダクトの設置などを行った。1階のコンビニ店の一角は、通りに面したギャラリーとして整備。地元のアーティストの作品を展示するなどして、駅から千葉市美術館へ続く「美術館通り」にちなんだ文化発信の機能を備える。
同社の山中敦之取締役(37)は「開発が進む千葉のまちでは、人の流れが変わり歴史や文化が見えにくくなっている。新しさだけでなく、古いものの魅力も生かす皮切りにしていきたい」と展望した。

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