ふるさと納税 市原市7割増の17億円 販促強化、返礼品も充実 民間人アドバイザー効果

市原市は、ふるさと納税の寄付額アップに向けて今年4~11月に2人の民間人アドバイザーを無償で登用し、取り組んできた実証実験の成果報告会を開いた。返礼品の品目数は今年9月末時点で731件となり、4月1日時点と比べて2.3倍に大幅に増加した。さらに今年度の寄付額は14億~17億円と推計し、昨年度と比べて最大1.7倍に増加すると見込みと結論づけた。
市原市へのふるさと納税寄付額は、2022年度が約8億2千万円、23年度が約10億2千万円と増加傾向。一方で、市原市民による他市町村への寄付に伴う市民税控除額も23年度は約6億6千万円に上り、返礼品や事務経費などを差し引くと、手元に残るのは約5億3千万円まで目減りする。その結果、ふるさと納税の23年度収支は実質約1億3千万円の赤字となった。
このため市は、ふるさと納税強化に向けた人材登用の実証実験を4月に開始。民間の専門的な知見や視点を取り入れるため、2職種のアドバイザーを公募し、ともにコンサルティング関連会社の経営者、河野真伍氏(寄付額向上アドバイザー)と、大後裕子氏(新規返礼品開発アドバイザー)をそれぞれ登用。庁内横断の12部署15人とともにプロジェクトチーム(PT)を発足させ、実質黒字が見込める目標寄付額を13億円に設定し、取り組みを開始した。
広報誌や市ウェブサイト、SNSなどの活用や金融機関などとの連携で事業者に制度を周知させたり、返礼品のポータルサイトのデザインを変更したりしてプロモーションを強化。ユーザーが検索したキーワードとマッチした商品を自動的に選んで表示する検索連動型広告なども導入した。
新規返礼品の開拓では、人気返礼品のゴルフボールのバリエーションを増やしたほか、地元のラーメン店やチョークアート体験などを新規に開拓。4月から9月末までに新たに15事業者が参加した。
これらの取り組みが奏功し、今年度の寄付額は目標を超え、14億~17億円となる見通しとなった。小出譲治市長は「職員が『稼ぐ意識』を持てるようになった」と意義を強調。来年度は新たな部署を創設する方向で検討している。

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