伊勢エビが三重から消えた!? 漁師悲痛「魚だけだと生活できない…」海底には「ゴキブリみたいな黒いの」が大量発生

三重県の海に異変が…。地元の特産「伊勢エビ」の漁獲量が激減しています。
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6日午前6時頃、三重県南伊勢町の伊勢エビのさし網漁に密着しました。シーズンは11月から来年4月まで。前日に仕掛けた網は3つですが…。(田口拳汰カメラマン)「どうですか?伊勢エビ」(漁師 掛橋潤也さん 49歳)「いねぇなあ、おらへんなぁ」Qこれなんですかね?「これはブダイ」
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網にかかったのはブダイなど、今まではこの時期あまり見なかった暖かい海域を好む魚ばかり。では2つめの網はどうか?…取れていないようです。(漁師 濱地紀浩さん 55歳)Q伊勢エビが今のところ1匹も上がっていないが?「こんなもんですね」Q11月から漁が始まったと聞いたが、1か月足らずでこんなに見ないもの?「こんなにいないって、元々もおらへんな」Qそれじゃあこの先12月、1月とやっていても…「取れへんと思うよ」Qそれはこの時期でも温かいから?「そうやな、潮がぬくたいでな」そして…最後の網にも伊勢エビはかかっていませんでした。
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(掛橋さん)Q結局、伊勢エビきょう1匹もいなかったですね「1匹もおらんかった。残念やな」Qそれぐらい少なくなっているということ?「1匹もいないときもちょこちょこあるでな」(濱地さん)「こんなんばっかり」
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三重県全体では、2018年の伊勢エビの漁獲量は311トンだったのに対し、2022年は163トンとほぼ半分に減っていて、ここ南伊勢町の海でも激減しているようです。(濱地さん)「もう趣味やな」Q結局伊勢エビが取れないと意味ない?「魚取っているだけだと生活できない」
三重県南伊勢町の海の中での異変は他にも。11月30日に取材したのはウニの駆除活動。と言っても、トゲに毒がある「ガンガゼ」という「ウニ」の一種です。なぜ、駆除しなければならないのか?(NPO法人SEA藻 鈴木勝海理事長)「ガンガゼは一般のウニに比べて、トゲが長くて海の有機物をかじって生きている。岩に付着する海藻の種なども全てかじってしまう」
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鈴木さんらNPO法人「SEA藻」は、東海地方の海が元の姿を取り戻すために、2015年からガンガゼの駆除を行ってきました。(鈴木理事長)「週末はほとんどガンガゼ駆除をしている状態」
鈴木さんによるとガンガゼを水槽で飼うと、アクリル板に付着する藻を食べる際にアクリル板ごとかじってしまうとのこと。海だと岩がつるつるの状態になってしまう、磯焼けの状態が起きてしまいます。(鈴木理事長)「温暖化のせいでガンガゼも常に年中食欲がある状態。水温が真夏で30度を超えてしまうと、海藻が急に弱ってしまう現象も起きている」
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では、ガンガゼのいる海の中はいまどんな状態なのか?潜った瞬間にその姿が目に飛びこんできました。長いとげを持つ真っ黒なガンガゼ。この日は9人で潜り、棒の先で半分に割っていきます。合計1時間半あまりのダイビングで、約2万個のガンガゼを駆除。終わりが見えない活動です。(鈴木理事長)「ゴキブリみたいな感じ。そこら中に黒いのがいる。ぱっと見おいしそうな中身に見えるんですけど、実際食べてみると苦みが強い」
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鈴木さんも温暖化の影響を心配します。昔はいなかった南方系の魚も目立つようになったといいます。また、ブダイやアイゴなど海藻を食べる魚も、南伊勢の海で多くなっていて地元漁師はこう証言します。
(漁師 掛橋潤也さん)「ヒジキを根ごと食べてしまうので、新しい芽が生えてこない。ガンガゼを駆除してもらって、新たに種をまいてヒジキを育てている。後の子どもらにも残るような海底を、資源を残してあげたいのでありがたい活動」
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…とはいえ、元の海に完全に戻すのは厳しいと感じています。(掛橋さん)「何年か前から海の地形、海底が全然変わってきて、今までいたサザエやアワビなどがいなくなり、海藻類がほとんどとれなくなった」
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こうした海の異変について専門家に聞きました。(三重大学水産実験所 松田浩一教授)「影響が強く出ているのが冬場の海水温。今では2~3度くらい上昇している」Qなぜ海水温上昇で悪影響が出るのでしょうか?「藻場を形成する海藻にとってもちょうど今、1月から2月に新芽が芽吹いてきて大きくなっていくが、その頃に水温が高いと、海藻自体の生育も遅くなってしまうし、海藻を食べる生き物の活性も高くなるので食べられてしまう」
Q三重県の海は深刻?「三重県全体の漁獲量を見ると、5年間で6割減少している。日本全体を見ても、三重県の漁業への影響は厳しいものがある」
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Q海水温上昇は止められる?「今、考えられる最大限の対策を行っても、徐々に水温は上昇していくと予測されている。水温は今後も上がり続ける可能性が高い」
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