「VEB152」は、ドイツ初のジェット旅客機で、分断されていた東ドイツが生み出した最初の旅客機でもあります。この外形は「旅客機っぽくない」ユニークさが特徴です。なぜこのようデザインとなったのでしょうか。
軍民問わず多数の航空機を手掛け、近年ではヨーロッパの大手航空メーカーであるエアバス社の一翼を担うドイツで初めて開発されたジェット旅客機が「VEB152」です。この機体はある意味「旅客機っぽくない」といえるようなユニークなデザインを特徴とします。この機はどのように生み出されたのでしょうか。
飛ぶ前に地上走れるの!? クセ強デザインすぎる「ドイツ初のジ…の画像はこちら >>VEB152(画像:ドイツ公文書館)。
「VEB152」が生み出されたのは、戦後東西に分割された同国において、社会主義体制をしいていた東ドイツです。初飛行は1958年で、まるまると太ったような胴体に、翼が胴体上部に設置された「高翼機」のスタイルが採用されました。翼端に丸いフェンスが取り付けられ、やけに細長いエンジンが搭載されているのも特徴。さらに主脚も、2組の脚がくっつきそうなほど狭い間隔で取り付けられています。
このモデルは、同じ社会主義国家であったソ連で、東ドイツの航空機設計者も管理下におかれて開発された爆撃機「OKB-1 150」の設計を応用して開発されたもので、その設計はOKB-1 150と多くの部分で共通しています。
しかし「VEB152」は試作機こそ作られ、ルフトハンザ航空での導入も決定したものの、最終的に実用化することなく開発が終了しました。これはソ連が自国で旅客機を開発するプロジェクトを進めており、その影響で東ドイツの民間機産業を解体せざるを得なくなったことが原因とされています。