今月18日、警視庁はSNSで集めた女性らを全国約350店舗の風俗店に紹介し、スカウトバックとして紹介料を受け取っていたスカウトグループのトップらを職業安定法違反(有害業務への職業紹介)の疑いで逮捕した。逮捕されたのは遠藤和真(33)、双子の兄弟である田中優音(21)、優也(21)容疑者ら5人。双子は大学生で過去にはサッカーJ2の下部組織に所属していたこともあるという。
全国に約160人のメンバー警視庁担当記者が事件について説明する。
「逮捕された遠藤容疑者をトップとするスカウトグループ『アクセス』は全国に約160人のメンバーを擁し、ホスト通いなどで金に困った女性や高収入の仕事案件の募集に反応した女性らにSNSを通じて名前、年齢、スリーサイズ、写真などを送らせプロフィールを作成。日本全国の約350店舗の風俗店に一斉送信し、オークション方式で一番高値を付けた店舗に女性をあっせんしていました」
こうして風俗店に女性をあっせんするスカウトには、紹介料や女性の売り上げに対するバックなどが支払われる。遠藤らはあっせん先の風俗店から女性の売り上げの約15%にあたる報酬のほか、顧問料などを受け取り、数億円を荒稼ぎしていたという。
悪質さと慎重さで荒稼ぎ「スカウトバック」と呼ばれる報酬システムでは、紹介した女性が働き続ける限り報酬が支払われる。そうしたこともあってか、アクセスメンバーらはあっせんした女性が勤務拒否をすると、「写真をさらすぞ」などと脅していたというから悪質だ。
また、違法なスカウト行為の発覚を避けるため、メンバーらは互いに匿名で呼び合って秘匿性を保ち、グループの危機管理を行うなどのえげつなさも持ち合わせていた。
警視庁の狙いは悪質ホスト根絶そうしたなか、トップらの逮捕の端緒となったのは今年2月に新宿・歌舞伎町で起きたある事件だった。
「今年2月、歌舞伎町のホストが売掛のたまった女性客を消費者金融と契約させ、大分県内のソープにあっせんしたとして摘発されたことが捜査の端緒でした。あっせんしたホストやあっせん先の捜査の過程でアクセスの存在が浮上。大がかりなスカウトグループの存在を把握した警察は慎重に捜査を進めてきました」(同前)
今回、警視庁がこうしたアクセスのような悪質性の高いグループのトップらを逮捕したのは「風営法改正を視野に入れたホストらへの包囲網」(同前)の意味合いが強いという。
「今年に入って警察庁は悪質ホストらの包囲網を固めるために、専門家を交えた風営法の改正についての議論(悪質ホストクラブ対策検討会)を進めています。
現行の職業安定法では、アクセスなどのスカウトグループを通じて女性らを風俗店に紹介したとしても『どこに紹介するか知らなかった』などとすれば言い逃れができる。
さらには、違法な手法でホストらが風俗店に女性を紹介して『スカウトバック』を受け取っても、支払った店側は罪に問われない。そうした法の“抜け道”を風営法の規制に盛り込み、悪質ホストを根絶するのが当局の本当の狙いです」
悪質ホストとスカウトが、女性客の情報を共有している実態もわかってきている。風営法の改正も視野に入れた当局の狙いは、社会問題化している悪質ホスト問題の好手となるのか。