練馬・フィリピンパブで65歳“出禁”男がママをメッタ刺し、留置場でも傷害事件…「間違いありません」初公判で犯行認める

昨年7月、東京・練馬区の路上でフィリピンパブのママを刃物で刺し殺害しようとしたとして、殺人未遂などの罪に問われた最上守人被告(65)の初公判が、18日に東京地裁(江口和伸裁判長)で開かれた。
被告人は他に、ママとは別のキャスト女性Aさんへの傷害罪、買取販売店への建造物侵入罪および窃盗罪、ママへの殺人未遂で逮捕後、収容された留置施設内におけるBさんに対する傷害罪にも問われている。
裁判の冒頭、被告人は検察が読み上げた公訴事実に対して、ママへの殺人未遂罪、買取販売店への建造物侵入罪および窃盗罪については「間違いありません」と全面的に認めた。
また、キャスト女性Aさんへの傷害罪、留置施設内におけるBさんへの傷害罪についても「ほぼ間違いない」と認めたが、Aさんが負ったとする頭頂部のケガは自身の暴行によるものではないこと、Bさんを蹴った回数が4回ではなく1回だったことについて争う姿勢を見せた。
お気に入りのAさんが他の客にキスを… 検察の冒頭陳述によれば、被告人は2020年頃からママとAさんのいる店へ訪れるようになり、Aさんを気に入って足しげく通っていたという。
弁護人の冒頭陳述では、被告人について「店でAさんと話すことがささやかな楽しみだった」と述べられた。被告人には前科があり、最後に刑務所を出所したのは6年前。以降は「外国人や身寄りのない女性を助けたい」との思いから、ボランティアをライフワークとしていたそうだ。
ところが、ある日、被告人はAさんが他の客のにキスしているのを見て腹を立てる。そしてAさんへ「お前は最低な女だ。気をつけろよ」とメッセージを送った。
その後もトラブルを起こしたのか、ママから帰宅を促されると腹を立て、帰り際に店の看板を壊した。
そして昨年6月、「Aさんとアフターに行きたい」という被告人の申し出をママが受け流すと、被告人はドライバーの先端が拳の指と指のすき間から出るように持った状態でAさんの頭部を複数回殴ったという。
Aさんは出血を伴うケガを負ったものの、被告人による報復を恐れて警察に届けなかった。被告人は同日、ママに対し〈きょうは、ごめんなさい、あらためて、ごめんなさい、もうみせにいけないこと、いかないこと、やくそく、します〉などメッセージを送っている。
被告人は、いわば“出禁”状態となったが、その後も店を訪れ中に入ろうとしたため、Aさんは警察に被害届を提出した。
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証言台に立つ被告人。身長180センチほどあるように見えた(法廷画:Minami)

“出禁”中に店を訪れ、ママをメッタ刺しに ドライバーでAさんを殴ってから2週間後、店を訪れた被告人は、他の客を見送るママの姿を見つける。
被告人「Aはいるか」
ママ「知らないよ」
すると、被告人はビニール袋に入れた包丁をにわかに取り出し、ママの左右胸部、腕などを次々に刺した。傷は深さ5~6センチに達するものも多かったという。
ママはこの後、近くのコンビニに逃げ込んだ後に救急搬送されて一命を取り留めるが、手術に対応した医師は胸部につけられた複数の傷について「臓器に近く、損傷していた場合は大量出血の可能性もあった。いずれも致命傷」と語っている。
留置中にも傷害事件を起こす かくして逮捕された被告人だが、警察署内の留置施設に収容されると、同室になったBさんの言動が気に入らないと文句を言いだす。腹を立てて持っていた箸(はし)でBさんを刺そうとしたところ、Bさんが転倒。そのまま右足で顔面を蹴ったという。
被告人が立て続けに事件を起こした背景について、弁護人は冒頭陳述で「適応障害を抱えており、不眠やイライラに悩まされていた」「警察に保護を依頼されていた女性が自殺し、深く傷ついていた」と述べた。
Aさんへの傷害とママへの殺人未遂の間、被告人は営業時間外の買取販売店に侵入し、商品として陳列されていたスマートフォン2台(2万2858円)を窃取しているが、これも被告人の精神状態によるものだという。
審理は裁判員裁判で進められており、被害者らの証人尋問や被告人質問などを経て、12月11日に判決が言い渡される予定だ。

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