[社説]警報級大雨恐れ 命守る行動の再確認を

豪雨被害から雨が続き、北部の被災者は疲労困憊(こんぱい)だろう。だが、18日にかけてさらに北部や中南部に警報級の大雨が降る恐れがある。長雨で地盤が緩んでおり、警戒を怠ることはできない。命を守る行動を優先してほしい。
北部を襲った豪雨から1週間がたった。国頭、東、大宜味、名護、恩納の5市村では床上浸水53件、床下59件が確認され、住民は土砂を片付ける作業に追われた。
河川の氾濫や土砂崩れ、道路損壊が各地で発生。名護市源河と東村有銘を結ぶ県道14号は全面通行止めとなり、今も再開のめどが立っていない。
台風25号に伴う雨雲の影響で16日も雨が降った。
土壌には多くの水分が蓄積されており、沖縄気象台は、少しの雨でも土砂災害につながる可能性があるとして厳重な警戒を呼びかけている。天気予報をチェックし、十分備えてほしい。
逃げ遅れたり、被害を拡大させないためには早めの行動が必要だ。
浸水の危険がある場合は、あらかじめ2階以上に大切な物を運んでおく。
雨どいや排水溝などに詰まったごみを片付け、水はけを良くしておくことも大事だ。
車で避難する場合、必要な物は事前に車に積んでおきたい。
通行止めや冠水で道路を通れない場合もある。自治体や報道機関の情報を確認してほしい。
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豪雨は各地に深い爪痕を残した。
全容はまだ分からないが、農作物や家畜への影響が明らかになってきた。
大宜味村の養鶏場では、浸水被害で飼育していた約2万6千羽が死んだ。
東村では、パインなどが大打撃を受けた。綿密な計画の下で育てられたブランド品種「ゴールドバレル」の苗が腐るなど深刻な被害が出ている。
国頭村では河川の氾濫による浸水で、今も数十人がホテルや空き家などで避難生活を送る。
大宜味村では津波浄水場が床上浸水し、施設の機能が停止した。長いところでは6日間、断水が続いた。
氾濫した国頭村比地川は、かねて地域住民が危険を懸念し、県に浚渫(しゅんせつ)工事を何度も要請していたことが分かった。抜本的な対策が必要である。
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被害の一方、支援の動きも広がっている。
浸水被害がひどい同村比地に連日、北部市町村の職員が入り、堆積した泥をかき出すなど復旧作業に当たっている。義援金や寄付金を集める動きも出ている。
焦燥感を募らせる被災者の心のケアも欠かせない。
災害はいつ、どこで起こるか分からない。互助の精神が必要だ。
今回、県の初動が遅れ、災害救助法の適用が困難になっている。県の危機管理体制の見直しが必須だが、今、困っている人にどんな支援ができるのかが重要だ。県と国、与野党が協力して早急に方策を講じてほしい。

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