「気付いたら“狩る側”になってました」 米陸軍が大量導入した「対ドローンミサイル」の“意外な正体”

昨今話題のドローンに対処するため、アメリカ陸軍では大手防衛関連企業のRTX社が開発した対無人航空機システム(C-UAS)「コヨーテ」を導入しています。しかし、じつはこの「コヨーテ」、もともとは小型無人機だったというのです。
ウクライナ戦争における各種無人機の活躍や、最近では神奈川県の海上自衛隊横須賀基地で発生したドローンによる護衛艦「いずも」上空の飛行事件など、無人機に関する話題には事欠きません。そこで対策として注目を集めているのが「無人機対処システム(C-UAS)」です。
「気付いたら“狩る側”になってました」 米陸軍が大量導入した…の画像はこちら >>RTX社が開発したコヨーテ・ブロック2(画像:RTX)。
C-UASにはさまざまなタイプがあります。たとえば、機関砲など従来から存在する兵器と無人機探知用センサーを組み合わせたものや、最近ではレーザー兵器や電子戦システムなども登場してきています。
そうしたC-UASの一つに、アメリカの大手防衛関連企業であるRTX(旧レイセオンテクノロジーズ)が開発した「コヨーテ(Coyote)」があります。
コヨーテは、車両などに搭載可能なコンパクトな発射装置から射出される飛翔体です。電動プロペラで飛翔するブロック1、より高速かつ高高度を飛行する目標を迎撃するためジェットエンジンで飛翔するブロック2、飛翔方法はブロック1と同じながら機体規模が大型化したブロック3が存在します。
ブロック1および2では、搭載する爆薬により目標を物理的に破壊する方式を採用。一方ブロック3では、詳細は不明ながら電波妨害などの非物理的な手段により目標を無力化します。そのため、ブロック3では一度発射して目標を無力化した後でも、機体を回収すれば再利用が可能となっています。
また、RTXによれば、コヨーテは民生品を活用した設計・製造が行われているため、大幅な低価格化を実現しているとのこと。
コヨーテはセットで運用されるレーダーにも秘密があります。同じくRTXが開発した「Ku帯電波センサー(KuRFS)」は、もともと対砲迫センサーとして開発されたもので、通常のレーダーでは探知が難しい小型無人機を遠距離から正確に探知できます。その性能は、拳銃から発射された9mm弾を探知できるほど。
このコヨーテおよびKuRFSは、すでにアメリカ陸軍でも導入されています。
じつは、コヨーテはもともと使い捨ての小型無人機として開発されました。アメリカ軍においては偵察用、さらにアメリカ海洋大気庁(NOAA)ではハリケーンの観測用として、それぞれ導入されています。その際、アメリカ陸軍においてC-UASとしての活用が検討され、本格的な開発に至ったとのことです。

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