川崎重工が新型のヘリ型無人機を公開。従来機より大型化し、積載性を向上させています。物資輸送だけでなく、防衛用途にも注目が集まっているようです。そのエンジンもまた、カワサキならではのものでした。
川崎重工は、2024年10月16日から19日にかけて東京ビッグサイトにて行われた「国際航空宇宙展2024(JA2024)」にて、同社が開発中の無人機「K-RACER-X2」を初めて公開しました。
アルプス山頂まで“無人で”物資お届け!? カワサキのでっかい…の画像はこちら >>JA2024の川崎重工ブースに展示されたK-RACER-X2の実機(稲葉義泰撮影)。
K-RACERは、もともと高速性能を追求する無人機として開発がスタート。2023年の3月に千葉県の幕張メッセで開催された防衛装備品展示会「DSEI Japan 2023」では、ヘリコプターと固定翼機のメリットを組み合わせた「K-RACER-X1」が展示されていました。その開発の過程で、重量物の運搬に関するニーズが高いことが判明し、開発されたのがこのK-RACER-X2とのことです。
その最大積載量は200kg、航続距離は100km以上、さらに3000m級の山岳地帯でも運用可能な性能を目指しているといいます。これにより、山の麓から山小屋への物資輸送といったニーズに応えることを想定しているとのこと。また、こうした重量物の輸送は、災害時に被災地への物資補給という点からも有用といえるでしょう。
さらに、K-RACER-X2は防衛用途での活用も注目されています。2024年1月には、海上自衛隊横須賀基地において、試験艦「あすか」と協力し、K-RACER-X2の機体下に吊り下げた約30kgの物資を、岸壁から同艦の甲板に下ろす試験が実施されました。川崎重工の担当者によれば、これはあくまで安全上の理由から接岸中の艦艇を用いて試験を実施したとのことで、実際の運用では、航行中の艦艇に対する物資輸送が想定されるとのことです。
モノを運ぶ用途だけではありません。海上自衛隊は護衛艦の艦載レーダーでは捉えることができない水平線以遠の目標を、ヘリ型無人機に搭載したレーダーで探知するための研究を進めるとしており、2025年度からは防衛装備庁での具体的な研究も開始します。これに対し川崎重工は、今後顧客のニーズに合わせて機体性能の向上も視野に入れており、K-RACER-X2に各種センサーや通信装置を搭載することも可能としているそうです。
ちなみに、K-RACER-X2が搭載するレシプロエンジンは、同社の子会社であるカワサキモータースの二輪車「Ninja H2R」と同じものです。