[社説]不登校最多 適切な支援につなげよ

学校に行けないとSOSを発している子が7千人を超える事実を深刻に受け止めなければならない。
文部科学省の2023年度の調査で、県内の不登校児童生徒数が過去最多を更新したことが分かった。前年度より1251人多い7013人だった。
小学生が3284人、中学生は3729人。不登校の増加は全国的な傾向だが、千人当たりで見ると、沖縄は46・5人で、全国平均の37・2人より9・3人多かった。40人学級に換算すると、1学級におよそ2人いる計算だ。
県教育庁によると、無気力や不安、生活リズムの乱れについての相談が多くなっている。
無理に学校に行く必要はないと考える保護者が増えるなど、学校に対する意識の変化も増加の要因にあると分析する。
2年続けて千人単位で増えており、半嶺満教育長も「喫緊の課題」と危機感を示す。
なぜ急増しているのか。 友達や先生など人間関係の悩みか、勉強に追い付けなかったのか。
県内で深刻な子どもの貧困やヤングケアラーなど家庭の事情も影響しているのではないか。
コロナ禍での生活環境の変化も無関係ではないだろう。
不登校の背景をしっかり調査・分析する必要がある。その上で、一人一人の事情に合わせた適切な支援が求められる。
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近年は、フリースクールなど、学びの場の選択肢が広がっている。学校内の受け皿づくりも進む。
文科省は、学校の空き教室を利用した不登校児童生徒のサポートを進めている。
県内でも「校内自立支援室」が昨年度43校に設置され、支援対象者661人のうち295人が登校したり教室に入れるようになったりした。
支援につながる子がいる一方、適切な支援を受けていない子がいる。
今回の文科省の調査で、全国の不登校児童生徒の4割が学校内外で専門的支援を受けていなかったことが明らかになった。県内の実態把握が急務である。
教育を受ける権利は、憲法が保障する基本的人権の一つだ。
孤立する子をどう支援につなげ、学びを保障するか。一人も取り残さないための体制を築かなければならない。
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不登校になる前にいかに兆候を察知し、寄り添えるか。教員はキーパーソンになるが、学校現場からは、職務が多忙で、不安や悩みを抱えた子どもと向き合う時間が取れないという声が聞こえる。
精神疾患を理由に休職した県内公立学校の教員は23年度、過去最多を更新した。子ども同様、教員もSOSを発している。業務の効率化、教員やスクールカウンセラーの配置増が必要だ。
不登校に至る理由は複合的で、学校だけで解決するのは難しい。地域や福祉分野との連携が欠かせない。

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