2024年11月14日に発売予定のゲーム『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、『ドラクエ3』)のリメイク版ソフト内でキャラクターの性別が廃止されることに対し、同年10月30日現在、ネット上でさまざまな意見が上がっています。
従来の『ドラクエ3』で採用されていた、主人公の性別を選ぶ仕様が『男』『女』から『ルックスA』『ルックスB』の表記になるそうです。
事の発端は、『ドラクエ』生みの親であるゲームデザイナー、堀井雄二さんの発言です。
同年9月28日、千葉県千葉市で開催のイベント『東京ゲームショウ2024』の会場から配信された動画内で、堀井さんは漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』の元編集長である鳥嶋和彦さんと対談。「主人公の見た目は男女で選べるんだけど、性別を選べるようには書いちゃいけないの。一体誰が文句をいうんだろう、分からない」とこぼしました。
性別表記の廃止そのものは、シリーズ初ではない模様。しかし、シリーズの中でも高い人気を誇る『ドラクエ3』の大幅な仕様変更とあって、「ゲームと現実は別物」などといった観点から否定的な意見が多数上がっています。
【ネット上の否定的な意見】
・ゲームにまでジェンダーって…嫌な世の中。ゲームと現実は違うから、そこまで気を使わなくてもいいと思います。
・多様性は分かるけど、なんだか釈然としないよなぁ。行き過ぎた考えには賛成しない。もはや自由な表現を妨げてる。
こうした否定的な意見も見受けられる中、近年、あらゆる角度から多様性を推進しようとする社会全体の動きが、ゲームの世界にも反映されることを「興味深いものだ」とする肯定的な意見も一部ありました。
【ネット上の肯定的な意見】
・性別表記がなくなることで、ゲームが性別にとらわれない楽しみを提供している点が面白い。
・これからのゲームが、多様性を取り入れてどう進化するか楽しみです。
近年、さまざまな場面で耳にする機会が増えた、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)を意味する『LGBTQ+』という言葉。
社会的に弱い立場にある『LGBTQ+』の当事者たちにとって、『ドラクエ3』における性別表記の撤廃はどう目に映るのでしょうか。
『差別的な表現を正す』という考え方は一般的にポリティカル・コレクトネス(略称:ポリコレ)と呼ばれており、多様性が尊重される現代社会において重視されています。
しかし行きすぎたポリコレは、世間へネガティブな印象や影響を及ぼすことが、たびたび指摘されているのも事実。
果たして、今回の仕様変更は『行き過ぎたポリコレ』にあたるのでしょうか。それとも『多様性の推進』に拍車をかけるきっかけの1つになるのでしょうか。
各々が置かれている社会的な立場によって、判断が分かれるところでしょう。
[文・構成/grape編集部]